キャリア教育の有効性は認められるが指導時間の確保に課題
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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VIEW'S RESEARCH

読者アンケートの結果から

キャリア教育の有効性は認められるが
指導時間の確保に課題

中学校で進められているキャリア教育について、中学校教師はどのような意見や悩みを持っているのだろうか。 編集部が実施したアンケート調査の結果を紹介する。

8割の教師がキャリア教育の有効性を認める

 国立教育政策研究所が2004年に実施した「公立中学校職場体験実施状況調査」によると、約9割の学校が職場体験を実施している。高校訪問や自分の将来を考えるような活動まで広げると、ほとんどの学校でキャリア教育が行われているといえるだろう。それでは、教師自身はキャリア教育をどのように評価し、どのようなことを課題と感じているのだろうか。2007年4月に実施した読者アンケートの結果を見てみよう。
 図1は、キャリア教育に対する評価をさまざまな観点から尋ねた結果だ。「キャリア教育を更に充実させる必要がある」かどうかを聞いたところ、86.0%が肯定している(「あてはまる」+「まああてはまる」の合計。以下同)。また、「学力向上に効果がある」については73.1%が、「高校入試などの進路選択に有用」については84.9%が肯定しており、学習と進路選択の両面で成果を実感していることがわかる。中学校教師の多くは、キャリア教育を高く評価している。

図1

 次に、キャリア教育を推進する上での課題(図2)であるが、選択された比率が最も高いのは「十分な指導時間が確保できない」で57.7%である。ただし、半数を超えるのはこの項目のみで、教材や指導方法に関する問題、地域住民や保護者の協力が得られない悩みなどは相対的に少ない。
 時間不足はなかなか解消されないが、キャリア教育の普及によって指導上の課題や協力体制の問題は、徐々に解消されているようだ。小誌07年7月号「生徒が変わる『キャリア教育』」も参考にして欲しい。

図2



調査概要 実施時期◎2007年4月/調査方法◎全国の公立中学校約11,000校に対し、小誌『VIEW21』と同送してアンケート用紙を配布。郵送およびFAXにて回収/有効回答数◎449通

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