指導変革の軌跡 「特別支援チーム」を結成し、教師個人の力に頼らぬ生徒指導を実施

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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一人ひとりの声に耳を傾けることで変化の兆しが

 「どうせ先生たちは俺たちの話を聞いてくれない、わかってくれない」
 生徒と向き合い始めて、聞こえてきたのはそんな心の声だった。
 「そこで生徒の言葉にじっくり耳を傾けてみることにしました。生徒の主張のうちの9割は、社会では通用しない自分本位なものでしょう。しかし、残り1割は『これは耳を傾けなければならない』という話が出てくるものです。それを受け止めるようにしていきました」(間邉校長)
 「俺が一生懸命に訴えているのに、あのセン公がシカトしたんだよ」
 「それはまずかったね。君は話をちゃんと聞いてほしいと思っているの?」
 「そうだよ」
 「今度、その先生と話す場を設定するからさ、きちんと言ってごらん」
 課題のある生徒と教師が膝を交えての対話を繰り返した。すると、「この先生は自分の話をちゃんと聞いてくれる」という生徒の思いと、「話せばわかるじゃないか」という教師の思いとが、少しずつ交わるようになっていった。
 「生徒は、ほかの人がいると絶対に本音を話そうとはしません。話は1人ずつ聞くようにしました。また、『なぜ授業に出ないのか』というような、単に生徒を追い詰めるだけの言葉は決して口にしませんでした。そのうち、家庭の事情について話し始める生徒も出てくるようになりました」(間邉校長)

写真1
写真1 茶室のような和風イメージを取り入れた「相談室」は、広々として落ち着く空間だ。生徒指導専任の教師が生徒の相談に乗るほか、週1回はスクールカウンセラーが来校する

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