学びが深まるICT活用 携帯型ゲーム機用学習ソフトは暗記型学習に効果的
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 2/5 前ページ 次ページ

退屈だったつらい学習が楽しくなる

 理科担当の中村茂先生は、当初から今回の取り組みに意欲的だった。
 「普段は学習指導に用いることのないゲーム機を教材の一つとして使用することで、生徒がどんな反応を見せるのかに関心がありました。教師も生徒に人気のあるゲーム機について知っておく必要があると考えていますので、DSの導入は教師にとってもよい機会だと感じました」(中村先生)
 副校長の藤井英一先生は、「本校では、実験や実習といった生徒自らが体験することや本物に触れることに重点を置いて指導しています。ゲーム機を操作するだけでは実体験を伴わないため、学びの本質的な面白さが伝わらないのではないか、学習した内容が本当に身につくのか、といった点を懸念していました。しかし、先生方が導入に意欲的だったこともあり、最終的に生徒のためになるのであれば意味があると考えて了承しました」と話す。
図1 携帯型ゲーム機用学習ソフト(ニンテンドーDS)の画面例
写真1
写真2
 朝学習にDSを使用してみて、中村先生、英語担当の本多敏幸先生とも、暗記型の基礎知識を習得する手段としての学習効果を感じたという。例えば、理科では元素記号などの理解に役立つと、中村先生は話す。
 「実験や観察などを通じた体験学習の前提として、基礎的な知識は必須です。しかし、そうした基礎知識ほど、たいていは丸暗記する必要があり、生徒にとっては退屈な作業になります。DSを使えば、生徒はゲーム感覚で意欲を持って取り組めるという手応えがありました」
 本多先生は、英語の語彙の暗記に効果的に使えると感じている。
 「現在はコミュニケーション手段としての英語が重視されていますので、基本となるのは音声、単語力、語彙力です。語彙力に関しては、とにかくコツコツと覚えていく必要があり、これが生徒にとってはつらいプロセスです。単語テストやスペリングコンテストなど、さまざまな工夫を凝らして学習への動機付けをしていますが、常に、より効果的で効率的な指導方法を模索している状態です。その意味で、DSは生徒の関心を引き付け、意欲をわかせる手段の一つになると感じました」
 DSでは「読んで意味を理解する」「スペルを書く」「音声を聴き取る」と、多面的な出題が可能で、しかもその場で正誤がわかり、答え合わせの時間を短くすることができる。これが、従来の手法とは大きく異なる優れた機能だと評価する声もあった。

   PAGE 2/5 前ページ 次ページ