計算力の差による算数の好き嫌いは、学年が上がるにつれて大きくなっている。図3のグラフの傾き具合からもわかる通り、特に計算力が低い子どもの多くは4年生ごろから苦手意識を持ち始めるようだ。
これらの結果からいえることは、約36%の6年生が算数を好きではないまま中学校に進学しており、中でも計算力が低い子どもの約半数は、小学6年生より前の段階から算数に対して前向きな感情を持たないまま、数学の授業を受け始めていることである。
「算数」から「数学」への移行をスムーズにするために、中学校入学時には、苦手意識を持つ層にどのような指導を行うかが鍵となるだろう。数学の課程を学習する前に、生徒が数学的な考え方の楽しさを実感できるような指導から始めることも必要かもしれない。
野村徳之(ベネッセ教育研究開発センター研究員)
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