ベネッセの研究開発 新中1生に見る「算数」の定着度
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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数学への移行をスムーズにするために

 意識調査の結果を見ると、算数を「好き」(とても好き+まあ好き)と回答した6年生の割合は63.6%である(図3)。計算力(今回調査のうち、計算問題の得点)別に見ると、平均点以上の子どもの77%、平均点未満の子どもの44%が、算数を「好き」と回答した。両者の間には33ポイントの差があり、すべての学年の中で最も開きが大きい。

図3

 計算力の差による算数の好き嫌いは、学年が上がるにつれて大きくなっている。図3のグラフの傾き具合からもわかる通り、特に計算力が低い子どもの多くは4年生ごろから苦手意識を持ち始めるようだ。
 これらの結果からいえることは、約36%の6年生が算数を好きではないまま中学校に進学しており、中でも計算力が低い子どもの約半数は、小学6年生より前の段階から算数に対して前向きな感情を持たないまま、数学の授業を受け始めていることである。
 「算数」から「数学」への移行をスムーズにするために、中学校入学時には、苦手意識を持つ層にどのような指導を行うかが鍵となるだろう。数学の課程を学習する前に、生徒が数学的な考え方の楽しさを実感できるような指導から始めることも必要かもしれない。


野村徳之(ベネッセ教育研究開発センター研究員)


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