特集1:生徒指導:つながり、深める「部活」指導

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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部活動に対する教師の姿勢を 生徒は鋭く見ている

西島 長島先生は、部活動では生徒にどのように指導していますか。

 

長島 生徒が入部した段階から、どんなチームを目指していくのかを具体的に話して、日々、伝え続けるようにしています。何か問題が起きてから、「人とうまくやっていくのが部活動では大事だぞ」「我慢することがこれからの人生に役立つぞ」と言っても説得力はありません。私の場合、「立派な大人になる」、つまり、当たり前の行動ができるチームづくりを目指しています。中学生にとって当たり前の行動とは何かというと、生活のほんの一部である部活動よりも、それ以外の時間を大切にすることです。例えば「授業中に居眠りをするくらいなら練習に出なくてよい」と生徒に伝えています。

 

西島 部活動を通して生徒指導をしているといえますね。

 

長島 そうですね。以前、ある学年が荒れてきたときに「あの学年で部活の顧問をしている先生は何人いるのか」と話題になったことがありました。「生徒は、自分たちのために先生が何をしてくれているのかを、部活指導をする顧問教師の様子を通じてしっかり見ている」と指摘する先生からの意見でした。

 

西島 私たちの調査では、「部員の学業成績を知っているか」「友だち関係を知っているか」という教師への質問に対して、部活動にたくさん顔を出している顧問ほど、生徒のことを把握しているという結果が出ました。部活指導に熱心な教師は、ほかの教師から「部活ばかりして」と思われがちですが、ほかの校務にもきちんと取り組んでいるという傾向も見られました。顧問を引き受ける教師のほとんどは、本当に生徒のことを思っているのだと、調査結果を見て実感しました。

 

長島 ある運動部を指導している同僚に「なぜ顧問をしているのか」と聞いてみたのですが、「好きだからだよ。教育課程の一部かそうでないかなんて関係ないよ」という答えが返ってきました。

 

西島 ただ、「私は教科を教えたくて教師になった。顧問をやるためではない」という先生もいませんか。

 

長島 「部活動は意味がない、する必要はない」と思っている教師はごく一部です。私の実感としては、顧問の先生方のうち、専門性を生かして部活動に熱心に取り組む先生が5割、技術はないけれど生徒のために前向きに取り組もうという先生が4割、消極的な先生が1割でしょうか。ただ、部活動を熱心にすれば学校がうまくいくというわけではありません。バリバリ指導する熱血先生から和やかな優しい先生まで、いろいろなタイプの教師がいて学校はうまく動いていきます。活発な部活動についていけない生徒もいますから、週1、2回だけ活動する部も必要です。そのバランスが大切だと思います。

 

西島 生徒の立場からすると、活動が毎日ではない部もあった方がよいということですね。毎日指導するのが大変だったり、指導に前向きでなかったりする先生でも、そうした部の顧問を引き受けて週1回でも一生懸命に指導すればよい、という考え方もできそうですね。


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