特集1:生徒指導:つながり、深める「部活」指導
東京都世田谷区立千歳中学校

東京都世田谷区立千歳中学校

1948年度に2つの中学校が合併して開校。校区には閑静な住宅街が広がる。人間尊重の精神を基調として、生涯を通じて学ぶことのできる人間の育成を目指す。校区の幼稚園や小学校、隣接する都立高校との交流が盛ん。05年度から2年間、「世田谷区教育ビジョン推進研究指定校」。

校長●宮澤典夫先生

児童数●565名

学級数●16学級

所在地●〒157-0071 東京都世田谷区千歳台6-15-1

TEL●03-3300-7361

FAX●03-3300-7370

URL●http://www.setagaya.
ed.jp/tchise/


宮澤典夫

▲世田谷区立千歳中学校校長

宮澤典夫
Miyazawa Norio
五十嵐章

▲世田谷区立千歳中学校

五十嵐章
Igarashi Akira
美術科担当、女子バレーボール部顧問
長島章

▲世田谷区立千歳中学校

長島章
Nagashima Akira
保健体育科担当、ラグビー部顧問
山口裕之

▲世田谷区立千歳中学校

山口裕之
Yamaguchi Hiroyuki
数学科担当、バスケットボール部顧問
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【学校事例1】 東京都世田谷区立千歳中学校

「顧問」と「管理顧問」の役割を明確化
保護者の協力で部活が活発に

教師自身が経験のない部の顧問を任されても、活動が沈滞化しないよう、
世田谷区では外部指導員を制度化している。千歳中学校では同制度を活用しつつ、
保護者の協力も得て、充実した部活動を行っている。

顧問を支える区の外部指導員制度

  「バスケットボール部の顧問が異動するので、担当してもらえませんか」
 2005年春、新任で千歳中学校の赴任が決まった山口裕之先生は、宮澤典夫校長からそう頼まれた。バスケットはおろかスポーツの競技経験のない山口先生は、当時をこう振り返る。
 「教師1年目でしたから、なんでもしてやろうという気持ちでした。生徒への技術指導は外部指導員が行うと聞いていたので、自分は生徒と一緒に覚えていけばよいと思いました」
 部の存続を心配していた部員は当初、山口先生の就任を喜んでいた。しかし山口先生は、次第に部員との壁を感じるようになったという。
 「練習の場にいても、私は何も指導しないため、生徒とうまく交流できませんでした。『何もできないなら、自分が行く意味はない』と思ったこともありました」(山口先生)
 それでも、山口先生は放課後、10分でも20分でも練習を見に行くようにした。そんな姿を目にする部員が増えるにつれ、顧問として認められるようになっていったという。バスケット部顧問は08年度で4年目となり、今では新入部員に簡単な技術を指導できるようになった。ただ、基本的に技術指導は外部指導員(世田谷区では「部活動支援員」)に任せている。
 「バスケットそのものに詳しくなるよりも、生徒と一緒に活動すること自体に意味があると考えています。土日には区の審判講習会などが開かれていますが、講習を受けるよりも、生徒の試合や練習に参加しています。これは、技術指導面を外部指導員に任せられるからこそ可能なことだと思います」(山口先生)
 教師の異動に伴い、技術指導ができる顧問の数の変化は、どの学校にとっても大きな課題だ。世田谷区では部活動を学校の教育活動と位置づけ、「校長および教師のだれもが何らかの形で部活動にかかわりを持つ」という方針を掲げ、顧問と管理顧問の役割を明確にした(図)。その上で、外部指導員を「部活動支援員」として制度化している。同校はこの制度を利用して、バスケットボール・野球・サッカー部で計6名の外部指導員を依頼し、教師の負担を軽減している。

図

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