特集1:生徒指導:つながり、深める「部活」指導

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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部費の管理や試合に保護者が協力

 同校には14の部がある。部活動加入率は9割を超え、生徒の8割は運動部に入る。世田谷区では生徒は校区内の指定された中学校への入学が基本だが、指定校変更を希望し、校区外から同校に入学する生徒が、例年、約1クラス分にも上る。理由の一つが部活動だ。中でも、区内に数少ないラグビー部への入部を理由に、校区外から入学することもある。
 練習日は部によって異なるが、ラグビー部、バスケット部などは土日も含めて週5、6日となるため、体力や勉強との両立を理由に練習から遠ざかってしまう生徒もいる。顧問はそうした生徒を根気強く支援する。女子バレー部顧問の五十嵐章先生は、「たまたま同じ年に生まれ、同じ地域に住んでいる仲間が協力して活動し、試合に勝ったり負けたりしながら成長していく場、それが部活動だと思います。勝利を目標にしなければ運動部は成り立ちませんが、ただ勝てばよいわけではありません。部活動を通して生徒の心も育てていきたい。それが難しくもあり、一番大事なことだと思います」と話す。
 部活動を支える保護者の存在は大きい。同校ではすべての部に保護者会があり、各部の保護者会代表と副代表、教師代表3名が参加する「部活動委員会」を設置している。年間3000~5000円の部費のうち200円を本部費として、同委員会の会計担当の保護者が管理し、文化部なら校外発表などの参加費に、運動部ならブロック大会の参加費に充てる。本部費以外の部費管理については、部によって異なるが、保護者会が管理している部も多い。
 保護者には試合見学を呼びかける。ラグビー部顧問の長島章先生は「生徒が怪我をしたら、自分の子どもだけでなく、ほかの子どもの面倒も見てください」とも保護者に伝える。実際、試合を見に来る保護者は多く、生徒が怪我をしたときに自主的にサポートしてくれることもあるという。
 「世田谷区では教師全員が顧問を受け持つ方針ですが、難しい面もあります。保護者に教師の現状を理解してもらうために、部活動保護者会では『部活動は教師のボランティアで行っています』と伝えています。また、外部指導員には800~1000円程度の時間給が区から支給されていることを考え合わせても、教師にも金銭面・時間面の更なる支援が必要です」(宮澤校長)
 同校の取り組みは、顧問教師を支えるために外部指導員と保護者を巻き込むことの可能性と、顧問教師の待遇の改善の必要性を示唆している。

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