特集1:生徒指導:つながり、深める「部活」指導
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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部活指導を評価する仕組みが求められる

 さまざまな課題を抱えながらも、教師はなぜ顧問を引き受けるのか。引き受ける以上、教師にとってよりよい指導を行うためのポイントは何か。ここでは次の3点を挙げたいと思います。
 第1に、新学習指導要領では「学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること」とされていますが、それでもあえていえば、教師全員に部活動の指導を強制する必要はないということです。教師がいやいや担当していれば、生徒にもわかってしまいます。大切なのは、教師が自分の持ち味や専門性に合う仕事を一つひとつ確認しながら選んでいくことです。部活動は、教師の教育的な能力を高めていく大事な機会であることをまず自覚し、自己選択として取り組む必要があるでしょう。
 第2に、自分が顧問をしている部活動の成果について、ほかの教師と話をしてみてください。教師の仕事には、成果と直結しなくても地道に継続しなければならないことがたくさんあります。教師にも、生徒と同じように成果のスモールステップが必要なのです。ほかの教師との対比の中で、自分が取り組んでいる活動の意味が見いだせることもあるでしょう。更に、人が見落としがちな生徒の側面に目を向けて、皆でその生徒の評価を多面的に重ねていくこともできます。そうすれば、教師にとっても、スモールステップが見えやすくなると思います。
 第3に、評価の問題です。教師の経歴を見る際、日本では「野球部顧問担当」のように短い記述のみで、大会入賞などの実績だけが評価されてしまうこともあります。対照的に、アメリカの職業人の履歴には「何年何月に何をした」という活動歴を細かく記入することがあります。日本の教師にも「指導歴」のような評価があってよいと思います。具体的には、部活動の練習に毎日付き合い、合宿にも参加した、ということが履歴になって積み上げられていくような仕組みです。これがあると、部活指導のやりがいも出てくるのではないでしょうか。

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