特集1:生徒指導:つながり、深める「部活」指導
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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部活動の位置づけと教師の役割を明確にする

 これからの社会では、グローバル化が更に進み、学力保障と同じように趣味や体力の保障も重要になります。「ハイパー・メリトクラシー(注1)の時代」が到来すると言われているからです。そのような時代に求められるのは、いろいろな資質を持ち、どんな困難にも前向きにポジティブ指向で立ち向かうタフな人材です。イギリスの名門大学でラグビーやボートが盛んなのは、知性だけでなく身体性や集団性を養うためです。日本の政財界のリーダーの多くも、文化活動やスポーツなどをたしなみ、懐の深いタフな人たちです。
 これまで部活動は、教師の善意に支えられてきました。しかし、部活動の位置づけを曖昧なままにしておけば、学校で取り組む必要はないという結論になりかねません。部活動を教育活動の中にどう位置づけ、教師が何をどこまで指導するのかを明確にすべきです。中には、部活動の再構築に向けて、小中連携など新たな手法を取り入れている学校もあります。部活動には学校にしかできない貴重な価値があることを再確認し、位置づけを明確化することで、ますます有意義に活発なものになると期待しています。

注1 教育社会学者の本田由紀先生による造語で、ポスト近代化社会において、「生きる力」、個性、創造性、    意欲など、個々人に応じて多様でかつ情動的な部分を多く含む能力が重視される社会のこと


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