特集3:職場体験の実践ポイント
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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「体験だけ」で終わらない事後指導
約半数の生徒が再訪問

 事後指導では、感想文集や礼状の作成、実践発表会が大半の学校で実施される。一過性の取り組みで終わらせないための工夫としては、「トライやる」アクションが挙げられる。兵庫県教育委員会は、活動終了後の受け入れ先への訪問や、地域行事への参加を推奨している。
 「半数近くの生徒は土日や長期休業中に受け入れ先を自主的に訪れています。このほか、介護施設のボランティアや祭りの企画運営、共同募金なども行っています」(丸林先生)
 職場体験を通して生徒はどう変わるのか。
 「普段は口数の少ない子が声を張り上げて接客するなど、環境が変わると別人のように振る舞う生徒を多く目にします。本人すら気付いていなかった新しい可能性が開花するのを目の当たりにします」(伊勢先生)
 実際の進路に結び付くケースもあると、大社中学校の土井宣人先生は話す。
 「介護施設で体験をした卒業生が福祉系の大学に進むなど、『トライやる・ウィーク』が進路に結び付いたケースをしばしば耳にします。直接的な影響はなくても、この体験が進路を考える上での足場になっているのを実感します」
 事業の最大の目的である「心の教育」についての効果を測ることは難しい。ただ、学校や生徒と地域とのつながりが深まったことや、実施期間中に生徒と保護者の会話が増えたことなどから、他人に敬意を払う気持ちや自己効力感が高まった等の効果があったという。また、不登校生徒の減少という効果も表れている。
 「教師の働きかけにより、不登校の生徒の半数ほどが『トライやる・ウィーク』には参加します。更に、そのうちの4割ほどは活動後の登校率が上昇しています」(松尾中学校教育係長)
 新しい環境に飛び込み、驚き、戸惑い、自分の頭で考えるからこそ、生徒の心に刻み込まれるものは大きい。取材で出会った教師の大半が「活動後は生徒の顔つきが変わる」と口をそろえたことが、この取り組みの効果の大きさを端的に示している。
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