「キャリア教育」という言葉は、職場体験学習の広がりと共に身近なものになりつつある。 一方、キャリア教育の意義や取り組むべき内容については、教師の間で認識が異なることが多いのではないだろうか。 ここでは、各種の調査結果を基にキャリア教育の実態を紹介する。
キャリア教育の中心となる活動の一つは、職場体験学習である。国立教育政策研究所が行った調査(注1)の結果によると、2006年度の公立中学校における職場体験の実施率は94.1%(前年度比2.2ポイント増)だった。実施期間は1~3日間が全体の80.7%を占め、文部科学省が推奨する「5日間」は16.5%となっている(図1)。
教育課程内のどの時間を使っているかについては、「総合的な学習の時間で実施」する割合が84.1%と圧倒的に多く、「特別活動での実施」(16.7%)が続く。「教科の授業で実施」、「教育課程には位置付けないで実施」する割合は1割に満たない(図2)。
具体的な学習内容は、図3の通りだ。04~05年に日本進路指導協会が行った調査(注2)によると、「総合的な学習の時間」において、中学1年生では生き方や進路を考える上での下地となる学習内容が上位に来ており、2年生では職場訪問・体験学習に関する活動が多くなる。3年生になると、高校など上級学校への進学に関する活動が増える。