実は、新しい学習指導要領には、「キャリア教育」という言葉は明記されていません。しかし、キャリア教育が重要ではない、ということでは全くありません。キャリア教育の目的や内容を示すエッセンスは、「学ぶことと働くことの意義」「勤労観」「職業観」といった別の表現として随所に盛り込まれています。60年ぶりに改正された教育基本法にも「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと(第2条2)」という項目が追加されています。キャリア教育の推進が、法律として定められているのです。
キャリア教育を実践するにあたっては、各教科や「総合的な学習の時間」、道徳をはじめ、すべての教育活動を通じて「なぜ学ぶのか」「なぜ学びが重要なのか」を、生徒自身の将来や社会の在り方と照らし合わせて考えさせる指導が大切です。その意味で、「キャリア教育」=「職場体験」といった狭い捉え方ではなく、学習指導要領全体の基盤の一つであることを理解していただきたいと思います。
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