特集1:キャリア教育・進路指導:教科で進める「キャリア教育」

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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年1、2回でもキャリア教育の観点を意識した授業を

 目の前にいる生徒たちには何が欠けているのか、このまま大人になったらどのような問題が生じるのか、それらを克服するためにはどのような工夫が必要なのか、といった課題を明らかにすることも、是非、取り組んでいただきたいことの一つです
 ある学校の理科の授業を見学したときのことです。6人ずつのグループによる実験の手順を考える話し合いが、指導案ではキャリア教育でコミュニケーション能力を培う活動と位置づけられていました。ところが、実際には単に生徒が話し合いをしているだけで、その場で教師から生徒への働きかけはありませんでした。
 確かに、話し合いはコミュニケーション活動の一つです。しかし、ただ授業の中に話し合いの場面を設ければよいというのではありません。例えば、発言をしていない生徒を発言しやすくするにはどうするか、話し合いの途中に考えさせる。そして、後日、学級活動などで、その授業を振り返りながら、コミュニケーションについて改めて学ぶ機会を設けることも可能です。
 クラスによって生徒の人間関係はさまざまで、抱えるコミュニケーションの課題も異なるでしょう。「話し合いの機会を設けた=コミュニケーション能力を育成した」とは言えません。クラスの課題を踏まえて何を投げかけるのか、どのように働きかけるのかといったことを考えながら指導することによって、話し合いの場面も「キャリア教育」となっていくのです。
 ただ、話し合い活動のたびにキャリア教育との関係を考えながら指導するのは、先生にとって大きな負担です。キャリア教育と絡めた授業は、各教科ごとに年に1、2回程度から始めてみてはいかがでしょうか。ここなら指導しやすい、キャリア教育と関係している、というタイミングを見逃さないことが大切です。

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