特集1:キャリア教育・進路指導:教科で進める「キャリア教育」
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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はじめからキャリア教育の完璧な体系を目指す必要はない

 教科指導にキャリア教育の視点を取り入れる際に、必ずしも新しい活動を始める必要はありません。今、行っている活動を見直し、どこかにキャリア教育の視点を取り入れて、活動を膨らませてみてはどうでしょうか。
 基になるのは、旧文部省の委託調査研究から開発された「職業観・勤労観を育むための学習プログラムの枠組み(例)」(P.14図参照)です。生徒の職業観・勤労観を育むために必要な能力を「人間関係形成能力」「情報活用能力」「将来設計能力」「意思決定能力」の四つに分類した上で、それぞれを構成する能力を二つずつ、計八つの能力に整理しています。しかし、これはあくまでも「例」です。すべてを必須のものと捉えて実施する必要はありません
 いきなり学校全体で綿密な計画を立てて取り入れようとすると、進路指導・キャリア教育担当の先生方が大変な負担を抱えてしまいます。まず、一人ひとりの先生が自分の授業でキャリア教育の視点を取り入れた活動をしてみる。そこでの成果を、教科内あるいは学年内の先生と共有することから始めてみてはどうでしょう。成果が見られたら、「この理科の単元と家庭科をつないでみよう」「学級活動にもつないでみよう」といった具合に、点と点を結んでいく。徐々に活動範囲を広げ、学校全体の体系的な指導にまとめていけばよいのです。
 毎日の指導で気になっているところから始めるのも一つの方法です。例えば、よく問題行動を起こす生徒、グループから外れてしまっている生徒から眼差しを広げていくのです。すべての生徒に目を向けることが理想ですが、まずはキャリア教育が最も必要と思われる生徒に働きかけていくというスタートの切り方もあります。


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