特集3-大人の知らないケータイの世界
下田博次

▲群馬大特任教授
下田博次

しもだ・ひろつぐ◎子どものインターネットおよび携帯電話利用問題に取り組み、NPO青少年メディア研究協会を主宰するほか、警察庁「少年のインターネット利用に関する研究会」座長など、数多くの審議会の委員を務める。著書に『学校裏サイト』(東洋経済新報社)など。

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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特集3:「持ち込み禁止」は有効か?

大人の知らないケータイの世界

携帯電話は子どもたちにとって身近な道具となりつつある。
しかし、大人にとっては単なる情報通信機器にすぎない携帯電話は、子どもたちにとっては、コミュニケーションをつくり上げる「ケータイ」であり、その存在価値は異質のものだ。
教師、保護者の想像を超える子どもたちとケータイの結び付きと、今後の対策を考えてみたい。

大人と大きな差がある子どもの「ケータイ」利用

 ここ数年、中学生の間でも所持率が高まっている携帯電話(以下「ケータイ」)。このケータイを使って、子どもたちは何をしているのだろうか。子どものケータイ利用問題について積極的に取り組んできた群馬大の下田博次特任教授は「大人と子どもとでは、ケータイに対する認識が全く違う」と説明する。
 「子どもはケータイを、インターネットなど現実とは違う世界と直接つながる道具として捉えており、彼らにとって大切な自己表現の場にもなっています。そのメディア感覚は大人の想像をはるかに超えるものです。しかも、文字だけではなくて、写真や映像、音楽のやりとりもできる道具がポケットに収まるわけですから、まさに格好の遊び道具であり、遊び場です。そして、この道具を使って、しばしば非常に問題のある遊びが行われています」
図

※内閣府「第5回情報化社会と青少年に関する意識調査報告書」より。2007年公表、調査対象は全国の満10歳から満29歳までの青少年および満10歳から17歳までの青少年の保護者、計7,000人
※ほかの質問で携帯電話・PHSを「使っている」と答えた人のみ回答
 子どものケータイの使い方が大人と異なるのは、内閣府の調査(2007年)からも明らかだ。図1のように、13~15歳で1日51回以上メールを利用している者が13.0%、1日11回以上情報サイト(注1)にアクセスしている者が12.8%に上るなど、「ケータイ漬け」となっている中学生も一定数存在する。
注1)サイト…インターネット上の一連の情報群、それが集まっている場所

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