特集3-大人の知らないケータイの世界
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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自分のケータイを使って遊び場を覗いてみてほしい

 中高生によるケータイを用いたさまざまな問題のある遊びが流行しているのは、下田先生によれば「日本特有の現象」だという。
 「欧米の家庭では、そもそもインターネット機能付きのケータイを子どもには持たせません。パソコンによるインターネット利用でさえ、最初はしっかりとフィルタリングをし、ルールやリテラシーを身につけさせてから徐々に外していくようにしています。ところが日本では、インターネット機能付きケータイを無条件で子どもに与えています。パソコンの場合は家庭で共用すれば親が見守ることもできますが、ケータイだと子どもがどのような使い方をしているのか、親は把握できません。ケータイのリスクを意識しないまま、子どもに与えた大人の責任は重いといえますね」
 子どもにケータイを持たせるかどうかの判断とその責任は「基本的には保護者にあり、学校にはない」と下田先生はいう。実際、中学校の多くではケータイは持ち込み禁止だ。しかし、ケータイを介したトラブルが学校内でも起きている以上、学校にも対応が求められる。
 「先生方には、自分のケータイで子どもたちが遊び場としているサイトを覗いてみていただきたい。子どもがどんなやりとりをしていて、そこにどのような危険が潜んでいるかを、身をもって知ることができるはずです。ケータイのメディア特性について、書籍や研修を通した学習も大切です。私が主宰しているNPO青少年メディア研究協会でも、教師や保護者、あるいは生徒を対象とした出張講習会を開催しています。生徒にとってケータイはとても身近な存在になっており、友だち同士でのメールのやりとりがきっかけで仲違(たが)いが起きるといったこともよくあります。情報教育を担当している一部の先生がかかわればよいということではなく、担任の先生まで意識を高めてほしいですね」

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