特集1 :生徒指導:行事で育てる高め合う生徒
桂林良哉

千葉県浦安市立堀江中学校

桂林良哉

Katsurabayashi Yoshichika
教職歴24年。同校に赴任して3年目。 教務主任、数学科担当、男子ソフトテニス部顧問。 浦安市立堀江中学校…生徒数454人、学級数13

神田憲興

静岡県磐田市立磐田第一中学校

神田憲興

Kanda Norioki
教職歴15年。同校に赴任して5年目。 1学年担任、特別活動主任、国語科担当。男子バスケットボール部顧問。
磐田市立磐田第一中学校…生徒数455人、学級数17

北村 泰

新潟県新発田市立東中学校

北村 泰

Kitamura Yasushi
教職歴24年。同校に赴任して2年目。 2学年主任・学級担任、社会科担当、卓球部顧問。
新発田市立東中学校…生徒数291人、学級数9

山下智子

東京都江東区立大島西中学校

山下智子

Yamashita Tomoko
教職歴18年。同校に赴任して3年目。 養護教諭。
江東区立大島西中学校 生徒数374人、学級数11

伊藤亜矢子

お茶の水女子大大学院准教授

伊藤亜矢子

Ito Ayako
お茶の水女子大大学院人間文化創成科学研究科 人間発達科学専攻発達臨床心理学コース 准教授(臨床心理士)
専門は、学校臨床心理学、コミュニティ心理学。


VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【座談会】

学級の力を高める
学校行事とその指導とは

生徒を取り巻く状況が変化する中、改めてその役割が問われている学校行事。
集団づくりや学級経営における学校行事の位置付け、
生徒の意欲の高め方、年間を見通した指導計画などについて、中学校の4人の先生と、
中学校の学級風土に詳しいお茶の水女子大大学院の伊藤亜矢子准教授に語っていただいた。

集団づくりや自己肯定感の育成に重要な「学校行事」

伊藤 生徒の集団づくりや学級経営に大きな意義を持つ学校行事ですが、先生方の学校では、どのような行事が、どのようなねらいで行われていますか。
神田 体育大会や学級対抗の合唱コンクールが、本校では盛んです。学校行事が、第一に学級のまとまりをつくることを目指して取り組んでいます。対抗戦に勝てばもちろん学級は盛り上がりますが、負けても学級の団結力が高まれば、行事は成功したと言えます。そのため、生徒が一丸となって行事に取り組めるような環境づくりを意識して指導しています。
北村 本校でも体育祭と合唱祭が中心行事です。体育祭は学年を超えた学級縦割りのチーム対抗で、3年生がリーダーとなり、1、2年生を引っ張っています。また、合唱祭は、文化祭がないために力を入れていて、市のホールを借り切って、学級対抗のほか、学年全体での合唱も行います。本校は1学年3学級の小規模校ですから、学級だけでなく、学年、学校全体が一つになって盛り上がります。
桂林 本校には体育祭、合唱祭、文化祭がありますが、それぞれ活躍する生徒が違うんです。学級経営では「生徒一人ひとりの居場所づくり」が最も大切だと思いますが、学校行事は、自分の個性を出して他者に認められることにより学級に居場所ができる。「自己肯定感が持てる機会」として行事を学級経営に組み込んでいます
神田 私も、「この生徒はここの場面で活躍できるといいな」と考え、役割を意図的に与えるようにしています。それは、全員参加が前提の学校行事だからこそできるのだと思います。全員参加の意義は、社会性を身に付けられるという点にもあると思います。学校行事を成功させるためには、学級での話し合いが必要となります。目的を持った話し合いを繰り返すことで学級の自治力が高まりますし、みんなで決めたことだからという拘束もあって、忍耐力や協調性を高める機会にもなります。本校には集団で行動することが苦手な生徒がいますが、行事後、そうした生徒たちに人間的な成長が見られると苦労も吹き飛びますね。
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