伊藤 |
生徒の成長のために、先生方はいろいろな工夫をされているのですね。 |
桂林 |
私は、担任がきめ細かく指導するというよりも、生徒みんなを同じ方向に向かせるにはどうすればよいのか、生徒自身に考えさせる機会を与えて、あとは任せるようにしています。生徒自身の力で同じ目標に向かう気持ちを抱いてほしいと考えているからです。実は、若いころに、合唱祭で曲選びや練習に口を出しすぎて、生徒の反感を買ったことがあります。 |
北村 |
私も、以前の勤務校で2年生の担任を受け持ったときに、合唱大会で曲選びなどに意見を言いすぎてしまい、その学級を持ち上がった3年生の大会では、「先生、今年は私たちだけでやりますから」と生徒に突き放された苦い経験があります。今は、学級の中心的な生徒を集めて、指揮者選びや選曲などで最低限配慮してほしいことを事前に伝えるだけで、あとは任せるようにしています。 |
伊藤 |
1年生ならば「大人の言うことを素直に聞く小学生」のような面がまだありますが、2年生は大人への反発心も出てくるころです。生徒の発達に応じた指導が大切ということですね。 |
桂林 |
そうですね。実際に指導していても、生徒の行事に対する思いは学年によって違うと感じます。1、2年生は「勝ちたい」という気持ちが強いけれども、3年生になると、勝負だけでなく、ほかにも大切なことがあると気づくようになります。 |
北村 |
同感です。3年生になると、「みんなと一緒にできるのはこれが最後」という思いが生まれて、2年生のときと比べて勝利にこだわったとげとげしさがなくなります。行事を自分たちの力で盛り上げようとして、学級がよい雰囲気になるんです。学級の成熟を踏まえた指導が、必要ですよね。一方で、大人になりかけて勝負にこだわる2年生の指導が一番難しいと感じています。その場合には、勝つための工夫もします。多くの先生がご存じかと思いますが、体育祭のリレー競技ならば、足が速い生徒と遅い生徒の順番を交互にし、バトンゾーンをうまく使うように指導しています。どの学年でも「勝利」が学級の目標になりますが、「学級づくり」という教師のねらいを実現するためには、学級の雰囲気に応じたかかわり方が必要だと思います。 |