特集1 :生徒指導:行事で育てる高め合う生徒
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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生徒の気質の変化に応じた距離の取り方が必要

神田 学級のまとまりをいかにつくるかが、学校行事のポイントの一つだと思います。そのためには、特に生徒同士の話し合いが重要だと捉えていますが、最近、生徒の気質が変わってきたのか、うまく進まないことがよくあります。普段の生活の中で、グループで話し合うような経験が少ないのかもしれません。
山下 私もそう感じます。お互いに思ったことを言い合い、その上で歩み寄る「話し合い」ができない。言いっぱなしで、友だちを傷つけてしまうのです。
桂林 コミュニケーションが苦手な生徒は以前からいましたが、だれかが仲間になってあげていたと思うんです。それが今では、話さない相手にはだれもが距離を置こうとする。だからこそ、全員参加での話し合いが重要な学校行事は、学級をまとめるよい機会に位置付けられると思います。
伊藤 そうですね。先ほど行事運営は基本的に生徒に任せるというお話がありました。担任としてのかかわりはどのようになさっていますか。
山下 生徒に任せた場合、リーダーの存在が重要になると思いますが、徹底してリーダーに任せる先生と、リーダーの相談に応じて声をかける先生と、先生によって対応の仕方はさまざまですね。中には、「もう少し先生に声をかけてほしいな……」と思う生徒もいるようです。リーダーになるような生徒は責任感が強い。心理的なプレッシャーがあまりに強すぎて、保健室に来るような場合もあります。そうしたときは本当に辛い状況に置かれていると思いますから、養護教諭の立場から担任に、生徒に声をかけてもらうように伝えています
神田 教師が出すぎると失敗してしまいますが、かといって、いないと生徒は不安になる。かかわり方のバランスが大切だと思います。
北村 リーダーとなる役割をできるだけ多く設けるのも、一つの工夫ではないでしょうか。責任を分担したり、話し合う仲間がいたりすることによって、一部の生徒だけが悩んでしまう状況が少なくなるでしょう。
神田 今の生徒は、リーダーになる経験が少ないように感じていたので、その方法はよいと思います。
北村 合唱祭なら合唱委員や指揮者、伴奏者、パートリーダー、音取りのリーダーなど、いろいろな役割があるので、よい機会となります。
神田 リーダーにうまく役割を任せることで、行事の準備がうまくいくかどうかは、担任がどれだけ見ているかにかかっていると思います。普段から昼休みに教室にいるようにするだけでも、生徒の動きは自然と見えてきます。
伊藤 それは重要ですね。私は担任の先生から学級経営の相談を受けたときに、「昼休みにできるだけ教室にいるようにしてみてください」とアドバイスすることがあります。それだけで学級の雰囲気が変わり、いじめなどの問題も解消していくことがあります。
山下 生徒は、先生が近くにいてくれるのが本当に嬉しいのだと思います。行事に限らず、保健室に来る生徒は「問題を解決してほしい」のではなく、「自分の話を聞いてほしい」ことが多いのです。私が黙って話を聞いていると気持ちがすっきりするのか、特に言葉をかけなくても教室に帰っていきます。ですから、担任がそばにいるだけで、生徒の気持ちも違うと思うのです。

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