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自らの生活や進路を見つめ直すきっかけに
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生徒を変えるために同校がもう一つ行ったのは、家庭や地域への働きかけだ。学校便りを使って随時保護者に情報を発信したところ、PTAの各会合でも校歌を合唱するようになった。
7月の授業参観日には、生徒と教職員に、保護者約170人が加わって校歌を合唱。更に、地域の回覧板で地域の人々にも参加を呼びかけたところ、参加を申し出る人がいた。増田先生は「地域の方々は、以前から学校に協力したいと思っていたものの、どのようにかかわればよいのかわからなかったようです。これなら参加できると思っていただけたのでしょう」と話す。
取り組みが地域へと広がる中で、道徳の時間を活用して、なぜ地域の人も熱心に校歌を練習してくれるのか、その背景にある気持ちを話し合う授業を行った。すると、生徒の地域に対する考えが変わっていったという。「大勢の地域の方の支えがあるから、今ここにいるんだと思いました」「地域の方々に感謝の気持ちを示すために精一杯校歌を歌いたい」など、地域の人に共感する気持ちが次第に芽生えていったのだ。
教師も例外ではない。増田先生は、「地域で生徒に温かい言葉をかけていただいたり、学校に出向いて共に活動したりと、活動を続けるにつれ、私たちが地域に支えられていることを実感していきました」と話す。
保護者の意識にも変化が見られた。当初は「校歌を歌うことが何につながるのか」と疑問視していたある保護者は、「歌っているうちに話しかけるような気持ちになり、松島中学校という存在を抱きしめたくなるような気持ちが心にわき上がってきます」と感想を寄せた。大合唱の取り組み前と比べて、学校に協力的な保護者も増えた。
そして、9月の文化祭当日、生徒・教職員・保護者・地域の人たち計約760人による大合唱が行われた。終了後には、全学級一斉に道徳の授業で振り返り学習を行い、大合唱の感想を書かせた。ある1年生は、全校生徒が週2回行っている登校中のゴミ拾いについて「自分から進んでやっていきたい」と記した。ある3年生は「自分にとって今やるべきことは、自分の進路について真剣に考え、自分でも変わっていくことだと思います」と書いた。地域への単なる感謝ではなく、自分が今やるべきことは何かを、具体的な行動として考える生徒が多くなった。 |
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