特集1 :生徒指導:行事で育てる高め合う生徒
 
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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他者との「認め合い」やリーダー意識を育む

 同校がブロック活動を始めたのは1995年度だ。86年度に近隣に新しい中学校が開校して校区が分割された影響で、88年度に700人を超えていた生徒数が、95年度には400人を割り込んだ。規模が縮小しても学校の活力を保つためのブロック活動導入だった。その後、学校選択制が導入された2005年度以降は、ブロック活動が人気の一つとなり、生徒数は増加。07年度には再び400人を超えた。現在は「異年齢の中での育ち合い」をブロック活動のねらいとしている。
 この活動は、異年齢のさまざまな生徒のかかわり合いを生み、互いを認め合い、助け合う、思いやりの心の醸成に大きな影響を与える。また、学年が上がるにつれて、リーダーとしての自覚を芽生えさせることも大きな効果
だ。
 「Aくん、こっちに来て一緒にやろうよ」
 ブロック活動中に何もしていない1年生がいると、2年生や3年生は当たり前のように声をかける。三栖先生は、「1年生の様子に気づかない3年生もいますが、その1年生にではなく、3年生に教師が声をかけて、上級生としてすべきことをさりげなく促しています」と話す。
 「バトンタッチ」―夏休みが明けると、2年生の間にこの言葉が飛び交う。入学時から上級生に面倒を見てもらってきた自分たちが、今度はリーダーとしての役割を受け継ぎ、後輩を引っ張っていくという意識が高まるからだ。3年生にとって最後の大仕事である10月の郷土学習発表会の閉会式で、3年生が最後の挨拶を述べた直後に「ちょっと待った!」と2年生が声を上げる。毎年恒例の儀式として、2年生が3年生に向けて感謝の言葉を述べ、歌を歌うのだ。

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