特集1 :生徒指導:行事で育てる高め合う生徒
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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リーダーの資質を伸ばし生徒全員を「見守る」

 ブロック活動を率いる「ブロック長」は、生徒の憧れの的だ。活動の成否を握る存在とあって、全校生徒による選挙で選出される(図2)。ブロック長は、10月から次期ブロック長候補の2年生にブロック運営を実質的に任せる。12月には次期ブロック長希望の2年生を集め、現ブロック長による「ブロック長リーダー研修会」を開き、リーダーのあるべき姿や心構えなどを伝える。選挙は翌年1月に行われるが、他薦はなく、すべて立候補。演説をし、全校生徒による投票を経て、新しいブロック長が決定する。
図2
 08年度の選挙では18人が立候補し、男女各6人の計12人が選出された。ブロック活動全体を統括する岡田渉先生は、「ブロック長に選ばれるのは、学級のリーダー的な生徒とは限りません。普段は目立たない生徒もいます。意欲が最も重要となる役割ですから、どの生徒も持っているリーダーの資質を伸ばし、あと押しができるように、教師は心がけています」と話す。
 新年度には所属ブロックが変わる。編成を決めるのはブロック長だ。12人が集まり、男女比や兄弟姉妹、友人関係などを考慮し、約500人の生徒を12のブロックに割り振る。「郷土学習」のテーマもブロックごとに定められるため、自分の意にそぐわないブロックだと感じる生徒もいる。その際、保護者から「子どもの希望をくんでほしい」と連絡がくることもある。しかし、市川美紀子校長は「ブロック活動は、仲良しグループではなく、教育活動として行っています。集団の中でいかに学び、育て合うかが目的です」と保護者に説明し、理解を求めている。
 各ブロックには1、2人の教師がサポート役に付く。活動の内容は、ブロック長が月1回集まる会議で決まり、教師は企画内容について事前に報告を受けるのみだ。活動自体の支援はするが、教師は一歩引いた裏方として、目的や進む方向がずれないように見守る。
 市川校長は、ブロック活動における教師の位置付けを次のように話す。
 「教師は出張があって顔を出せない日もありますが、活動の場に突然訪れても、ブロック長が『先生、今日はこれをお願いします』と計画を指示してくれます。ブロック長に全体を引っ張ってもらう一方で、私たち教師は一人ひとりの生徒に目を配り、より充実した活動に導くことが役割なのです」

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