記念特集 中学校教育のこれまでとこれから

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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本人にとって高校受験は大変

 このような入試に対する不安やプレッシャーの意識は、どう変わっていくのだろうか。
 1981年調査と単純に比較できるデータはないが、『モノグラフ・中学生の世界』では1988年と2002年の2度にわたって「高校進学」をテーマとした調査を行っている。ここから、中学生の意識の変化を探っていこう。

図6
注1:1988年調査は『モノグラフ・中学生の世界』Vol.30高校進学~『15の春』の実態を探る)、2002年調査は『モノグラフ・中学生の世界』Vol.72(高校進学の現在~1988年との対比)、対象はいずれも中学3年生、実施は3月

 図6は、高校入試への不安について示したものだ。1988年調査・2002年調査共に、3人に2人は「合格できるかどうかという不安」が「あった(とても+わりと)」と回答している。また、6割近い生徒が、「今のまま入試をむかえて、志望校に合格できるか不安」という意識を持っており、2時点で大きな変化はない。
 図表は省略するが、「勉強が手につかない」(1988年57・8%↓2002年57・2%)「なんだかイライラする」(同51・3%↓50・7%)など、入試前の心理状況についてもほとんど変化が見られない(数値は「いつもそうだった」と「ときどきそうだった」の合計)。
 偏差値による輪切りで受験校を決めることが競争の激化を招いているという批判から、1993年に文部省(当時)は業者テスト利用の自粛を指導し、その後、学校で業者テストが行われることはなくなった。更に、2002年調査では65・5%が推薦入試を「受けた」と回答するなど、推薦入試の枠が拡大している。
 客観的に見れば、偏差値の数ポイントを競う受験の厳しさは、緩和されているように思える。しかし、生徒本人にとっては、入試が大変だという認識は変わらないようだ。


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