記念特集 中学校教育のこれまでとこれから
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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時間不足が最大の悩み

図9
注1:1993年調査は『モノグラフ・中学生の世界』Vol.47(教師の指導力)、2000年調査は『モノグラフ・中学生の世界』Vol.68(中学教師は訴える~中学教師の全国調査から)、2007年調査は『第4回学習指導基本調査』。
注2:1993年調査と2000年調査は「とても感じている」と「かなり感じている」の合計、2007年調査は「とてもそう思う」と「まあそう思う」の合計の比率を示している。
注3:2007年調査は、質問文の一部が異なる。「授業の準備が十分にできていない」は「教材準備の時間が十分に取れない」、「生徒の考えや行動についていけない」は「子どもたちが何を考えているのかわからない」という問いに、そう思うかをたずねた。

 勤務の大変さは、意識の変化にも表れている。図9は、中学校教師の悩みを示したものだ。「授業の準備が十分にできていない」「年間の授業時数が足りない」といった時間の不足に起因する悩みが、1993年調査から2000年調査にかけていったん減った後、2007年調査にかけて大きく増加している。おそらく、生徒指導や保護者・地域対応といった学習指導以外の業務が増えたことにより、1990年代は在校時間が増えたと思われる。しかし、全体に生徒の学習量を減らす方向性 が明らかだったので、指導や準備の時間不足という悩みは減っていったのだろう。このことは、教材研究を含む持ち帰り業務の時間が減っていたこととも符合する。
 ところが、2002年に完全学校週五日制が導入され、ただでさえ平日の時間のゆとりがなくなり、学力向上のための学習指導の充実が強く求められるようになった。学校に対して十分な資源(教員数や予算など)が与えられないままに、多くのことが求められるようになった。その結果が教師の長時間勤務や持ち帰り仕事の増加につながり、時間不足の悩みをもたらしたのではないだろうか。


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