30年に渡る中学校の変化について、いくつかのデータを基に検討してきた。生徒も、教師も、その意識や行動は時代ごとの社会環境や教育政策の影響を受けて、さまざまに変わってきたことがわかる。その時々で学校や教師に何が求められるかに対応して、指導のあり方は異なるのだろう。 しかし、変わらないもの・変えてはいけないものもあると思う。教師は、生徒が学校での学びに意味を見出し、学校に楽しく通えるようにする努力を怠ってはならない。幸いなことに、そうした学校の価値は、この30年で大きく変わっていないかもしれない。
図11は、生徒に学校が楽しいかどうかを尋ねた結果だ。これを見ると、多少の違いはあるものの、すべての調査年で5割を超える生徒が「楽しい」と回答し、「楽しくない」という回答は2割かそれ以下である。 今回は触れられなかったが、この間には学校の「荒れ」が問題になった時代もあった。それにもかかわらず、生徒はおおむね学校を「楽しい場所」と捉えていたようである。そこには、教師のたゆまぬ努力があったと推察する。 もちろん、「楽しい」を増やし、「楽しくない」を減らすよう力を尽くすことは、今後も続けていかなければならない。そうした変えてはいけないものを大切にしながら、いかに変わっていく環境に対応するかが、これからの学校、そして教師に求められるのだろう。
<出典>
モノグラフ・中学生の世界:一覧(1978~2004)
第4回 学習基本調査・国内調査 中学生版
第4回 学習指導基本調査
第1回 子ども生活実態基本調査報告書