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時代の変化に合わせ問われる新たな教育モデル
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このように、制度的に位置付けがはっきりとせず、複雑な役割が求められているのが中学校教育の現状です。この点については、日本だけでなく欧米諸国も20世紀後半から悩んできました。実際、多くの先進国はまるで競争しているかのように教育改革に明け暮れています。アメリカは、1983年の『危機に立つ国家』という報告書を皮切りに、ナショナルスタンダード(注)づくりを含めた教育改革を始めました。イギリスは1988年の教育改革法によって、国家統制的な色合いの濃い教育システムを構築した上で、学校運営そのものは各学校の自由裁量に委ねるというユニークなスタイルを展開しています。
日本は、1970年代ごろにGDP(国内総生産)も1人当たりのGDPも、ヨーロッパの国々に追い付き、追い越しました。その段階で、日本は「モデルなき改革の時代」に入り、自力で教育モデルをつくり上げていかなければならなかったはずです。事実、日本は1971(昭和46)年の「四六答申」などを通して新たなモデルを模索してきましたが、実現できませんでした。その後も手をこまねいていたわけではありません。1990年代半ば以降、中央教育審議会から出された数多くの答申などはその表れの一つといえます。しかし現実には、PISA型の学力観に代表されるように、現在、ヨーロッパ主導の学力定義が世界標準になっているのです。
学校現場はこの改革の波にもまれて疲弊している状況といえます。しかし、近代化が終わり、新たな時代に移っているといわれている現代において、これまで通用していた学校制度がそのまま通用するとは思えません。その意味で、中学校だけでなく、学校教育全体が歴史的な転換期にあるといえるのです。
こうした中、中学校の先生方は、教育者として大きなやりがいを感じられると当時に、恐らく教師の中で最も苦労されておられると思います。 |
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注) 学校の制度や、教育の内容などに関する、全国一定の水準 |
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