中学生の携帯電話の所有率は5割弱だが、高校生の所有率(【1】)を見ても分かる通り、たとえ今は持っていなくても、近い将来、進学などを機会に多くの子どもが携帯電話を持つ可能性は高い。現在、99%の中学校で携帯電話の持ち込みを禁止している(*)が、これだけでは携帯電話を介したいじめや犯罪といった問題の抜本的解決にはつながらない。むしろ、生徒自身が「こういう使い方は危険だな、してはいけないな」「今日はそろそろケータイをやめて勉強しよう」などと携帯電話の使い方を自発的にコントロールできるように導くことが重要ではないだろうか。
中学生は、周囲から離れ、心理的な自立に向けた準備を進める思春期に当たる。友人関係を中心に社会性を育む時期でもある。携帯電話についても、ルールを一方的に伝えて守らせるだけでは、反発したり、隠れて危険な使い方をしたりすることもあるだろう。携帯電話は「究極のパーソナルツール」とも言われる。かつては別の方法で行われていた友人とのコミュニケーションや自己PRの手段が、今は「ケータイ」というツールに凝縮されている。善悪は別にして、頻繁なメールのやりとりは、友だちとのコミュニケーション願望の自然な表れと考えることも出来る。
そうした中、学校や保護者が果たすべき役割は非常に大きい。実際、保護者の目を意識する生徒ほど、携帯電話の利用マナーに気を配る(【4】)など、大人がかかわることで良い影響を及ぼすようだ。
携帯電話の使用・不使用の判断や使い方は、下校後の過ごし方や保護者の教育方針など、子どもの状況によって異なる。一律の指導ではなく、目の前の子ども一人ひとりに合わせた対応が求められている。教師や保護者は、問題が発生した場合や話し合いの必要性を感じた場合に子どもとコミュニケーションを取れる関係を日頃から築いておくことが大切ではないだろうか。
*文部科学省「学校における携帯電話等の取扱い等に関する調査について」(2008年調査)
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