ベネッセのデータでみる子どもと教育

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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まとめ

授業時数増が放課後の過ごし方に及ぼす影響も考慮した支援を

 中学生になると、小学校時代よりも保護者の関与が少なくなり、学校や友だち、一人で過ごす時間が増える。「自律」が求められる年齢にあって、時間を計画的に使えるようになることは、「自立」に向けた第一歩となる。
 中学生は、部活動や宿題など、授業が終わっても学校関係のことに時間を費やしている(【3】【4】)。家に帰ってから寝るまでの限られた時間の中で、家族との会話や趣味など、完全に自分が好きに使える時間をやりくりする必要がある。実際に「もっとゆっくり過ごしたい」「忙しい」と感じる生徒は多い(【1】)。ただし、多忙感を抱いていても、「毎日が楽しい」「充実している」と感じることが大切だ。そのためにも、目的意識を持って毎日を過ごすように意識付けることが、自律した生活を送る手助けになるだろう。
 また、1日の過ごし方や時間に対する意識には、学年によって特徴がある。1年生は、小学校との違いに戸惑う時期だ。小学校時代よりも宿題が増え、部活動が始まる影響で、自分で使える時間が極端に減る。2年生は、学校生活に慣れてくるが、中だるみをしやすい。1年生と1日の学習時間は変わらないが、メディアの利用時間は20分以上増えている。3年生になると、高校受験に向けての家庭学習が更に重要となり、それまで部活動に費やしていた時間の使い方にも自主性が求められる。このように、学年ごとに生活スタイルは変わるものであり、それぞれの課題を踏まえた支援が必要だろう。
 2012年に全面実施となる新学習指導要領では、授業時数も学習内容も増える。宿題の量や部活動の時間帯などにも影響すると予想される。放課後の過ごし方は学校だけで指導しきれるものではないが、更に多忙になりそうな生徒たちが放課後の時間を有意義に過ごせるよう、学校や家庭・地域の支援がますます重要になるのではないだろうか。

【1】~【6】出典


 「放課後の生活時間調査」ベネッセ教育研究開発センター
調査時期は2008年11月、調査対象は全国の小学5年生~高校2年生で、有効回答数は合計8,017人(うち中学生は3,592人)。有効回収率は31.2%。

研修会や保護者会に役立つ!
子どもの生活時間に関するお薦めウェブサイト
厚生労働省
全国家庭児童調査
http://www.mhlw.go.jp/
toukei/list/72-16.html

◎家族そろって食事をする日数や、父母の仕事の種類別に見た子どもとの会話時間など、保護者と子どものかかわり方が分かる

文部科学省
家庭で・地域で・学校でみんなで
早寝早起き朝ごはん
─子どもの生活リズム向上ハンドブック─

http://www.mext.go.jp/a_menu/
shougai/katei/08060902.htm


◎食事・睡眠など、基本的な生活習慣に関するデータが分かりやすく示されている

内閣府
低年齢少年の生活と意識に関する調査
http://www8.cao.go.jp/youth/
kenkyu/teinenrei2/zenbun/index.html


◎家庭や学校での日常生活や地域とのかかわり、価値観など、社会性に関連する意識を調べている。その一部として、起床時間や就寝時間、休日の過ごし方など、時間に関する項目がある

第5回情報化社会と青少年に関する意識調査
http://www8.cao.go.jp/youth/
kenkyu/jouhou5/index.html


◎携帯電話、インターネット、テレビゲーム(オンラインゲーム)など、メディアに関する利用時間が詳しく分かる
総務省
社会生活基本調査
http://www.stat.go.jp/
data/shakai/2006/index.htm

◎10歳以上を対象に、日々の生活における「時間の過ごし方」や1年間の「余暇活動」の状況などが、経年で分かる

国立教育政策研究所
IEA国際数学・理科教育動向調査の2007年調査
http://www.nier.go.jp/
timss/2007/index.html

◎中学2年生の学校外での時間の過ごし方を国際比較できる。宿題の時間が短く、テレビ視聴の時間が長いことなどが分かる
*上記は2009年7月時点での情報です
次号予告
『保護者の意識』について取り上げます

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