ベネッセのデータでみる子どもと教育

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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まとめ

保護者からの信頼を高める鍵は学校の情報開示

この10年で子どもの教育に対する保護者の関心が高まっている(【1】)。学校教育についても、保護者は学力だけでなく、社会性の育成や生活習慣の確立など、多くの面で高い期待を寄せる(【2】)。背景には、いわゆる「ゆとり教育」による学力低下への不安や、保護者自身も「家庭でのしつけや教育が不十分」と感じていること()などが考えられる。
そうした中、大半の保護者は、学校での子どもの様子や、学校の教育方針を知りたいと願っている(【3】)。そこでまずは、「子どもの様子を伝えたいと思っています」という学校の姿勢を示すことから始めてはどうだろう。学校だよりや学級通信などを通して、学校が学級の状況や指導の様子を日頃からこまめに伝える。例えば、登下校時の安全指導や学級の友人関係など、保護者が気にかけていること(【4】)を踏まえた情報を発信するのも一案だろう。
学力の向上や社会性の育成について、自校の取り組みの相対的な比較や、子どもの力が具体的にどのくらい伸びたのかなどを客観的に表せる指標は少ない。このため、指導の成果を保護者に分かりやすく提示するのは難しいからだ。
学校の取り組みや指導には、7割前後の保護者が満足している(【5】【6】)。これは、学校のたゆまぬ努力の表れだろう。一方、満足していない保護者や批判的な保護者、無関心な保護者も、少数派とはいえ一定数いる。
こまめに情報を伝えたり、保護者の話をよく聞いたりすることによる教師の負担は大きい。しかし、こうした取り組みは、保護者と学校との信頼関係を築く基礎となる。保護者の支援によって問題の拡大を防げる場合もあるし、学校への理解が深まるほど満足度は向上する。学校の教育活動を円滑に進めていく上で、かかった負担の大きさと同等以上の効果を得られるのではないだろうか。



* 内閣府「低年齢少年の生活と意識に関する調査」(2007年2月)

【1】【4】【5】【6】出典


 「第3回子育て生活基本調査」ベネッセ教育研究開発センター
調査時期は2007年9月、調査対象は首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)の小学1年生~中学3年生の子どもを持つ保護者7,282人。ただし、分析は母親のみ(6,770人)とし、1998年調査との比較は小学3年生~中学3年生の母親(5,315人)のデータを用いた。調査方法は学校通しによる家庭での自記式質問紙調査

【2】【3】出典


 「学校教育に対する保護者の意識調査2008」東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育研究開発センター
調査時期は2008年3月、調査対象は全国の小学2年生、5年生、中学2年生の子どもを持つ保護者5,399人(小学生保護者3,348人、中学生保護者1,972人、学年不明79人)。調査方法は学校通しによる家庭での自記式質問紙調査

研修会や保護者会に役立つ!
保護者の教育や子育て意識が分かるお薦めウェブサイト
文部科学省
義務教育に関する意識調査
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/
17/06/05061901/gimukyouiku.htm

◎全国の小・中学生、保護者、小・中学校の教師と学校評議員などを対象に、義務教育に関する評価や期待、子どもの家庭での生活状況等を幅広く調査。学校教育で身に付けるべき能力や態度について、教師と保護者の意識の違いが分かる

社団法人日本PTA全国協議会
平成20年度 教育に関する保護者の意識調査
http://www.nippon-pta.or.jp/

◎文部科学省や各教育機関が進める新しい学校教育、学力格差の拡大、親子のコミュニケーションなどに関する保護者の考えが分かる
厚生労働省
平成16年度全国家庭児童調査
http://www.mhlw.go.jp/houdou/
2006/06/h0630-6.html

◎1保護者と子どもを対象とした全国調査。5年ごとに実施。保護者が子どもとよくすることや会話時間などが分かる

独立行政法人国立女性教育会館
家庭教育に関する国際比較調査
http://www.nwec.jp/jp/publish/
report/page16.html

◎子育てに関する、日本、韓国、タイ、アメリカ、フランス、スウェーデンの6か国調査。調査対象は0~12歳児の保護者。親子のコミュニケーションの様子、子どもの生活習慣や最終学歴に関する期待など、国別の違いが興味深い
*上記は2009年10月時点での情報です
次号予告
『学習習慣・学習意欲』
について取り上げます

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