特集 研究授業を活性化させる!
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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普段から授業を見合う文化をいかにつくり出すか

図2:授業研究を充実させるために効果的なこと

─研究授業にはいろいろな方法がありますが、授業を見合うことは多くの先生が効果的とお考えのようです(図2)。具体的な効果や、逆に陥りがちな問題にはどのようなことが挙げられますか。

川合 一人でも多くの生徒が「楽しい」「分かった」と感じる授業を目指して、自分では考え抜いた授業を行ったとしても、研究授業後の検討会で他の先生に意見を聞くと、まだまだ改善の余地があることにいつも気付かされます。こうした学びはOJTならではでしょう。
大塚 先ほど、生徒指導などで時間が無いというお話がありました。確かに、生徒指導において緊急性の高い課題がある場合、研究授業よりも優先すべきでしょう。しかし、長い目で見れば「授業が分からないから、生徒が荒れている」ということもあります。すべてが必ずしも当てはまるわけではありませんが、学校全体として「授業力の向上で生徒を変える」という視点を忘れてはならないと思います。
川合 研究授業で陥りがちなのは、気合いを入れ過ぎて普段とは全く異なる授業をしてしまうことです。なるべく良い授業を見てもらいたい気持ちは分かります。しかし、準備に時間を掛け過ぎた授業は、本人にとってはその場限りのものになってしまいますし、他の教師にも参考にはなりにくいものです。私は、準備に過度な時間を費やすより、「このようなアイデアがあります」という発想を見せるように心掛けています。授業を見る側と見られる側の双方の立場で、「発想の転換」を図れることが、研究授業ならではの良さではないでしょうか。
大塚 そうした磨き合いは、研究発表会のような特別な場だけでなく、日々の授業を通して行うことが出来るのが理想ですね。本校の校長は、普段から授業を見て回り、子どもの様子を中心に、授業をデジタルカメラで記録しています。おかげで、どの教師も他の授業に気軽に入れる雰囲気があります。私も、若手教師の授業を見学してアドバイスをすることがよくあります。
川合 私の勤務校も職員室などで気軽に授業について話し合う雰囲気があります。勝負は教室の授業でも、そのために必要なのは、気軽に尋ねたりアドバイスしたりする、教室外のコミュニケーションです。
大塚 そうですね。実際には、その時間もなかなか作れないほど、皆、忙しいのが悩みでもあります。研究授業は1コマの授業で終わりではなく、指導案作りや事前事後の研究会にも時間が必要です。そこで、統合前の学校では、少しでも負担を軽減しようと、指導案がない研究授業を行っていました。その日の授業の工夫や改善ポイントだけを書いた用紙を教師全員に配布しておき、その時間が空いていれば見学してコメントを記入するという方法です。授業後に回収した用紙をコピーして、次の研修会で配布し、話し合いの材料としていました。
川合 勤務校では、研究授業の担当者が事前に研修指導部と話し合い、指導案を作成します。勉強にはなりますが、かなりの時間を要します。効率よく大きな成果を生み出すという視点で、研究授業の流れを見直すことが必要ではないかと思っています。
大塚 本校は生徒数約200人の小規模校です。私の専門は技術科ですが、技術・家庭科の担当は講師を含めて二人と、校内だけで教科の研究を進めるのは難しいものがあります。また、先生方に空き時間が無く、他の先生の授業を見たくてもなかなか見られません。地域によっては、他教科でも同様の課題が生じている学校は多いのではないでしょうか。

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