特集 研究授業を活性化させる!
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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工夫
行事や会議を精選し研究授業を年間計画に組み込む

図3:研修主任が考える校内研修の改善点

─研究授業をより良いものにするために、さまざまな工夫の観点がありそうです(図3))。お二人はどのようにお考えになりますか。

大塚 「時間が空いたらしよう」というのでは、結局、実施しなかったり、教師間で取り組みの積極さや負荷に差が出やすいものです。最終的には、トップダウンの判断の下、あらかじめ年間計画に組み込んでおくことが重要です。計画性を持たせれば、何とか時間を作ろうという意識が教師に芽生えます。
川合 地域や保護者との円滑な関係構築や、「○○教育」といわれる新しい教育課題など、今の教師に求められていることは非常に多いと感じます。すべてを完全にこなそうとすると広く浅くなり、どれもうまくいかなくなります。管理職の先生には、自校の実態を踏まえて取り組みに優先順位を付け、力を集中できる環境を整えていただきたいです。
大塚 本校では、会議や行事を精選して、その時間を研究授業に充てています。例えば、事務連絡は朝会で伝えることにして、職員会議は月1回に減らしました。協議内容はあらかじめプリントにまとめて配布し、会議では議論に集中して、時間を短縮しています。
川合 研究テーマを絞ることも大切ではないでしょうか。研究が進むと、「これも入れたい、あれも入れたい」といった要望が挙がり、つい詰め込みがちになります。そうすると、研究の焦点がぼやけてしまいますし、授業者の指導案づくりも大変になります。
大塚 確かに、研究テーマの設定は慎重に行うべきです。本校では、生徒の実態を反映させるため、毎年1月に教師全員にアンケートを取り、次年度の研究テーマを決めています。
川合 校内の声を広く取り入れるのは良いですね。「この研究は役立ちそうだ」という実感があると主体的に取り組むことが出来、心理的な負担も軽くなります。管理職や研究主任がテーマを一方的に決めるのではなく、現場の教師が課題と感じたり、関心のあるテーマを取り上げたりするのが良いと思います。
大塚 指導力向上という研究授業の本来の目的に立ち返ると、特別に時間を設けなくても出来ることが見えてきます。例えば、研究テーマに「生徒同士のかかわり合い」を掲げた時、授業でいきなりグループ学習を取り入れてもうまくいきません。帰りの学活など、普段からグループでの話し合いに慣れさせることから始めると、授業でのグループ学習は比較的スムーズに進みます。土台を作った上で研究を進める視点も大切だと思います。

研究授業の課題と改善の方向性

課題

・研究授業を行う時間の確保
・教科間の壁
・授業者の負担
・教師数の少なさによる研究の深まり不足

改善の方向性

・「授業力の向上で生徒を変える」視点
・研究授業を年間計画に組み込む
・役立ち感を得られるテーマの設定
・研究授業以外での広がりを持たせる

参考ウェブサイト(組織名50音順)

*下記はあくまでも一例です。他にも多くの教育委員会・教育センターのウェブサイトにさまざまな研究紀要や実践例が掲載されていますので、ご参照ください

●秋田県総合教育センター「研究紀要」
http://www.akita-c.ed.jp/
‾ckyk/kenkyu/h20/pr1/mokuji.html

図2で紹介したデータの他、授業研究会での司会進行の例や授業研究の方法のチェックシート(「授業研究デザインシート」)など、取り入れやすい具体例を掲載

●岩手県立総合教育センター
 (研究成果の紹介)

http://www1.iwate-ed.jp/
tantou/kyouka/seika/jugyouken/

「研究授業の考え方」「ワークショップ型研究会」「授業力アップ・ポートフォリオ」などへの取り組み方を紹介したガイドブックを掲載。図版やイラスト入りで読みやすい

●香川県教育センター
http://www.kec.kagawa-edu.jp/
「コーチング」「評価」など複数のテーマで校内研修の実践ポイントを掲載。実態・意識の各調査結果や、ダウンロード可能なサポートツールもある
●国立教育政策研究所(調査結果資料)
http://www.nier.go.jp/
09chousakekka/
05chuu_chousakekka_shiryou.htm

平成21年度全国学力・学習状況調査結果(学校質問紙)の中に、図1で紹介したデータを含む授業研究に関する調査結果を掲載。人口規模別や学校段階別に分かる

●静岡県総合教育センター「研究紀要」
http://www.center.shizuoka-c.ed.jp/
index.php?action=
pages_view_main&page_id=42

図3で紹介したデータを始め、研修主任、一般教諭など立場別のアンケート結果が豊富。その他、コミュニケーションを活性化する視点からの研究結果などを掲載
*上記は2010年2月時点での情報です

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