授業公開日の前には、グループごとに2回の指導案検討会を開き、授業を公開する教師が作成した指導案について、全員で意見を出し合って練り上げていく。
当初は、教師数の多い教科の教師の発言が目立っていたり、授業者と同じ教科担当者の意見が少し出ただけで終わってしまうことも多かった。ところが、他教科の教師が「素人」の立場で不明点を「分からない」と素直に質問するようになってから、次第に意見が飛び交うようになったという。
「自分が中学時代に苦手だった教科では、苦手な生徒の気持ちがよく分かります。教師の視点で『ここをこうした方が良い』と言うのではなく、生徒の立場になって『先生、ここがよく分からないのですが』という発言をするようにしました。すると、指導案の内容が深まり、検討会の雰囲気もどんどん良くなっていきました」(千田先生)
授業者と同じ教科ならば、「生徒はここでつまずく」「ここで分からなくなる」という共通理解がある。ところが、共通理解のない他教科の教師には、その前段階である授業内容をのみ込めないことがある。それを指摘することによって、同じ教科の教師同士では気付きにくいポイントを指摘できるのだ。
検討会では、「皆で模擬授業をやってみましょう」という時もある。例えば、ボディーパーカッションを取り入れた音楽の授業では、音楽教師の指導の下に体を動かしてみると、「これでは出来ないよ」と運動が苦手な教師から声が上がった。こうした意見を取り入れながら、グループの共同作業で指導案の完成度を高めていく(写真1、図2)。
共同作業といっても、授業者に物理的な負担は掛かる。だが、共同指導案のような形になることが、心理面での負担を軽減している。
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