課題にフォーカス
藤森幸

仙台市立寺岡中学校校長

藤森幸

Fujimori Yuki

吉田知彦

仙台市立寺岡中学校

吉田知彦

Yoshida Tomohiko
3学年主任

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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5日間だからこそ体験出来る仕事の厳しさと面白さ

 2年生で行う5日間の職場体験は、5年前に始めた。前例の無い取り組みであるだけに、協力してくれる事業所探しには苦労したという。
 「5日間という期間に、『前例が無い』『業務に差し障りが出る』などの難色を示す事業所が大半でした。教師が自ら事業所を訪れて、更に保護者の協力を得ながら、さまざまな企業にあたりました。初年度はなかなか数が集まらず、2、3日間の受け入れならば可能という事業所を組み合わせて、とにかく生徒が5日間の職場体験をすることにこだわりました」と、3学年主任の吉田知彦先生は当時を振り返る。
 「5日間という期間には、生徒にとって大きな意味があります。初日と2日目はお客さん扱いですが、3日目になると仕事を覚えてきます。しかし、4日目に出てくる疲れを乗り越えて、初めて成長出来るのです。また、一通り仕事を覚えたからこそ、工夫してみようと考えたり、事業所の方に『任される』『頼まれる』ようになったりしてきます。その体験が達成感や自信につながるのです」(藤森校長)
 今では職場体験への理解が広がり、受け入れ先はほぼ定着した。事業所に礼状やキャリア教育発表会の案内などを送る際に、次年度の受け入れについても書き添えて、事前にお願いをしている。このようにして、現在はホテルや大学生協など約40の事業所から協力を得ている。
 職場体験を行うのは10月だ。9月に入ると、掲示板に教師が作った「求人票」が張り出される。生徒はそれを見て希望を出すが、必ずしも希望通りの事業所で職場体験が出来るわけではない。学年の教師による面接を経て、最終的に決まる。ここで体験先が決まらなかった生徒は、残った事業所からもう一度選び直し、再度面接を受ける。
 「生徒には、必ずしも希望がかなうわけではないと、事前学習で知らせています。実社会でも、自分のしたい仕事が出来るとは限りません。それをここでも体験するのです。求人票を見て自分で体験先を選び、面談を受けるという過程は、『なぜその仕事をしたいのか』『何のために働くのか』をじっくり考える機会になります」(吉田先生)
 生徒は、興味のある分野や自分が知っている部分しか関心を持たない傾向がある。「分からないところには行きたくない」という場合がほとんどだ。ところが、実際に行ってみると、たくさんの気付きがある。世界を広げるために、あえて希望していない職場に送り出す意味は大きいという。逆に、希望した職場に行ったものの大きなギャップを感じる生徒もいる。これもまた大きな学びになる。
 09年度の職場体験発表会には、2年生だけでなく、1、3年生、そして校区内の小学6年生も招待した。6年生と1年生は、これから体験することへの心構えが出来る。3年生は、経験者の視点から振り返ると同時に、2年生にアドバイスが出来る。これにより、縦の連携が強化され、より実効的なキャリア教育になる。


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