課題にフォーカス
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 4/5 前ページ 次ページ

ポスター制作や道徳の授業で学習の大切さに気付かせる

 職場体験での学びを定着させるために、09年度には2年生の職場体験後に各自が派遣先の事業所をアピールするポスターを作成した。キャッチコピーを考え、イラストを描いたり、許可を得て事業所のウェブサイトから写真を取り込んだりと工夫を凝らした。こうしたポスターは、生徒が派遣先の業務内容を実感を伴って理解していないと作れない。更に、キャッチコピーは国語、イラストは美術、写真などは技術・家庭で学んだことを生かせる。授業が実生活に生かせることを実感出来る場となった。
 道徳との連携にも熱心に取り組む。09年度は、職場体験発表会の直後に「何のために学習するのか」をテーマに、次のような流れで授業を行った。
(1)授業の初めに、学習の意味についてそれぞれの考えを発表し合う。自分の能力を高めるため、社会に貢献するため、自分を鍛えるため、希望の職業に就くため、生活のため、人としての魅力を高めるためなど、さまざまな意見が出された。
(2)将来、お笑い芸人になりたいという「太郎」が、親に「勉強する意味」を聞く場面を想定し、太郎の親になったつもりでその疑問に答える「手紙」を書かせた。生徒は、先の発表も参考にしながら、改めてじっくり考え、丁寧に手紙を書いた(図3)。
(3)最後に、保護者から生徒に向けて「なぜ学習をするのか」について事前に書いてもらっていた手紙を手渡した。

図3:道徳「何のために学習するのか」で生徒が太郎にあてて書いた手紙(「学級だより」から)

 「自分の親の考えと共に、親が忙しい合間を縫って書いてくれた手紙に、温かい愛情を感じ取っている様子がうかがえました。太郎への手紙を書いた時の自分の思いと、親の思いが重なり、素直に『頑張って勉強しよう』という気持ちになれたと思います」(藤森校長)
 「道徳とつなげたことで、職場体験の価値が高まりました。大人の世界に触れ、少し大人になった気持ちになった直後に、生徒に『親になったつもり』で学習の必要性について考えさせる。別のタイミングで同じことをさせるより、はるかに考えは深まったと思います」(吉田先生)


   PAGE 4/5 前ページ 次ページ