ベネッセ教育総合研究所 ベネッセコーポレーション
教師の最優先事項は「明るく、元気」
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教師の最優先事項は「明るく、元気」
梶田先生 最後にひと言申し上げます。先生方には、いま、申し上げたいろいろなことを勉強してほしいと思いますが、本当に勉強してそれを全部実践に生かそうと思うと、疲れてしまう教師が出てきてしまう。
 そこで優先順位を考えたい。教師にとっていちばん大事なのは何なのか? それは、「明るく元気」ということです。これは親もそうなんですが、子どもの前にとりあえず明るく元気に立つということがいちばんの優先順位です。
 教師の顔を見て、あるいは親の顔を見て、子どもの心が暗くなったらいけないんです。どんなにすばらしい教材を準備して、すばらしい授業を展開する教師であっても、暗い声で、暗い表情で授業をしては、子どもの心が暗くなる。少々難はあっても、「あの先生の顔を見たらやる気が出る」「あの先生の顔を見たら今日一日が楽しくなる」とか言われる教師にならないといけない。「先生、板書した字がまた間違ってます」と言われても「そうだねえ、本当はどういう字だったか、調べておこうね」と言えばいい。
 したがって「明るく元気」がベースにあって、そのうえで、これまで言ったようないろいろなことを念頭に置きながら、子どもの次の成長発達のための働きかけができる教師であってほしい。
 私は教師の集まりでよく言います。
「睡眠時間はちゃんととってください。美味しいものは1週間に1回は食べてください。ときどきはいい音楽会なんかにも行ってください。それから教育以外のことでも語り合える友だちもつくってください」と。
 そういうふうに自分で自分の生活を自己管理する。これも良き教師として自分の職分を果たしていくうえでの力ですから、身につけてもらわなきゃいけない。
 そして、家を出るとき、あるいは職員室から教室に向かうとき、ちゃんと鏡を見て、「この顔を見て、子どもたちは果たして心が明るくなるのか暗くなるのか」と自問自答しないといけないです。今日のこの顔なら子どもの顔は曇るな、子どもの心は暗くなるなと思うようになったら、教壇を降りるべきです。そして、教壇を降りて校長室へ行けばいいと思ってはいません。なぜなら、校長先生は教師の教師で、校長のいちばんの仕事は、先生の心を明るくすることですから。教育委員会の指導主事もそうです。学校訪問をして、先生方の心を明るしないといけないわけです。もし自分の顔を鏡で見て、「これでは周りの人が暗くなるな」と思ったら、教育の関係の仕事からいっさい手を引くことです。
 
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