VIEW21 2000.9  新課程への助走
 2003年 新課程カリキュラム作成を考える

岩手県立盛岡第四高校の挑戦

全教師で決定したSIを基に
'03年度カリキュラムを作成

 SIを「四校ビジョン21」という形に、全教師の話し合いによって練り上げ、それを基に'03年度カリキュラムを作成した盛岡第四高校。新課程への移行期間の段階から、実質的に教育改革に向けた実践をスタートさせたそのねらいと、カリキュラム作成の過程を紹介する。

岩手県立盛岡第四高校
1964年(昭和39年)創立。普通科の共学校。生徒数は約1000名。ほぼ全員が進学希望。'99年度の入試実績(延べ人数)は、岩手大45名、岩手県立大21名など、国公立大127名。盛岡大30名、東北学院大37名など、私立大に211名。'99年度インターハイでは登山部女子が準優勝。文芸部誌が全国最優秀賞を受賞するなど、文武両面の教育に力を入れる。


 盛岡第四高校は、新課程の導入への積極的な対応が、特色ある学校づくりへの好機につながると捉え、学校改革を推し進めている学校だ。その最初のステップとして、SI(スクール・アイデンティティ)を「四高ビジョン21」という形でまとめ、'03年度のカリキュラムを作成している。
 同校がSIの検討に動き出したのは、'99年の夏休み明けだ。'00年2月に、'03年度のカリキュラムが完成するまで約半年。じっくりと時間をかけて検討している。

新課程のねらいを浸透させ、教師の意識改革を図る

 盛岡第四高校が新課程対応のカリキュラム作成に着手したのは、'99年4月である。新学習指導要領が発表された直後に、いち早く動きだしたのはなぜか。鳩岡矩雄校長は二つの理由を挙げる。
 「第一に、新課程に向けて、先生方の意識改革を行うためです。現場の教師が新課程のねらいを十分に理解しなければ、生徒を指導できません。カリキュラム作成を通して、'03年度を意識し、先々を見通した指導を今から少しずつでも実践してほしいと考えたのです。第二に、新しいカリキュラムを熟成させる期間が必要だからです。実施直前にカリキュラム作成を始めても、十分な検討がなされずに、見切り発車してしまいがちです。それならば、稚拙な部分があっても今、作成し、不都合があったら修正するという手法を取ったのです」
 また、同校では授業時間を65分としていた。しかし、学校行事などに合わせて弾力的な時間割を組みにくいという理由などから、'02年度の完全週5日制導入後には維持できないと判断。50分授業に変更するタイミングをうかがっていた。そのタイミングとして、'02年度に3年生となる生徒が入学する'00年度が絶好と捉えたのだ。


写真 二階堂南夫 写真 松岡隆之 写真 岩渕健一
岩手県立盛岡第四高校教頭
二階堂南夫
Nikaido Minao
教職歴34年目。同校に赴任して2年目。「知識だけではない、バランスの取れた人間を育てていきたいですね」
岩手県立盛岡第四高校教諭
松岡隆之
Matsuoka Takayuki
教職歴25年目。教務課主任。国語科担当。同校に赴任して3年目。「生徒の才能を引き出せるような指導を心掛けています」
岩手県立盛岡第四高校教諭
岩渕健一
Iwabuchi Kenichi
教職歴20年目。第2学年の担任。国語科担当。同校に赴任して4年目。カリキュラム編成の中心的役割を担った。

<前ページへ  次ページへ>

このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。