教師同士で徹底的に話し合い共通理解を得る
しかし、検討はすぐ行き詰まってしまう。議論百出し、一つの案としてまとめ上げることができなかったのだ。「学校としての指針、判断基準を明確にしないとカリキュラムの作成はできない」という声が教師の間から挙がるようになり、全教師の総意で、学校改革を推し進める基盤となるSIの検討を先に進めることになった。
まず、校長、教頭2名、教務課主任とで生徒の将来像について話し合う場を持った。PTA役員や生徒からも意見を聞き、地域や生徒から期待されていることを把握。それらを基に、2名の教頭が骨子を作成。9月、職員会議に提出し、本格的な検討に入った。
検討過程で特徴的なのは、特に検討委員会を結成したりせず、教師全員で話し合っていったことだ。骨子を作成した一人、二階堂南夫教頭はこう語る。
「生徒と日々接している先生方一人ひとりに、本校の将来、生徒の将来を考えてほしいと思い、教師全員にプランの提出を呼びかけました。若手教師には自分の理想を掲げてほしい、ベテランの先生方には経験から言うべき事を言ってほしいと伝えました」
同校の目指す姿、ビジョンと、それを実現させるためのプランを、分掌や学年、教科ごとに作成。提出されたSI、プランは全教師に伝え、校務連絡会(分掌の主任会)、職員会議などで検討を進めた。二階堂教頭らが思いもよらぬ、ユニークな案も数多く出された。例えば、体力づくりと学習の両立を目的とした案として、夏は7時半から授業を始めて、放課後の部活動の時間をたっぷり取る。反対にオフシーズンの冬は部活動をせず、勉強のみというプランなどだ。当然、会議の場で意見がぶつかり合うことも一度や二度ではなかった。しかし、校長や教頭が主導権を握ったりせず、教師同士で徹底的に話し合われた。それは結果的に、SIの全教師の共通理解につながっていった。
「SIの決定に自分もかかわっているという意識は重要です。その後のSIを基にした活動をきちんと遂行できるかどうかにかかわってきます」(二階堂教頭)
最終的には、校務連絡会で「四高ビジョン21」の形にまとめ上げ、11月中旬の職員会議で全教師の合意を得るに至ったのだ。
1.「四高ビジョン21」
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2.「四高ビジョン21」達成のための活動重点項目
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教師に求められること
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教科書の精選…教師自ら授業の再点検と創意工夫を行う。
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教師の研修…具体的な達成目標、指導方針を明確にした短・中・長期の計画を作成。
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生徒の将来を見据えた教育…10年後、20年後を見据えた幅広い視野に立った教育を行う。
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土日の過ごし方…生徒が土日を主体的に過ごせる環境を作る。
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生徒に求められること
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基本的生活習慣…将来の人生のため最重要項目として確立させる。
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時間の効果的活用…下校時刻を厳守することで家庭学習の時間を確保。
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「ゆとり」の活用…土日のうち1日は人間形成の一助となる活動日とする。
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