「四高ビジョン21」の目指す方向に即して幅広く科目を設定
では、具体的に'03年度のカリキュラムを見てみよう。
カリキュラム作成に際しては、先に'03年度の必修単位数を決め、そこからさかのぼって'02年度以前のカリキュラムを作成した。
「カリキュラムは3年間トータルの単位数で考えずに、単年度ごとに単位の増減を決めると、後で整合性がとれなくなってしまいます」(松岡先生)
草案は教務課が作成し、教育課程検討委員会と職員会議で討議した。全人教育と学力向上をいかに両立させて、単位数を振り分けるかが焦点となった。
「国公立大の入試実績が順調に伸びているため、主要教科のコマ数の減少には、どの先生方もかなり抵抗を感じていたようです。会議上でも、主要教科の単位数を巡って、厳しい議論が続きました」と、カリキュラム作成を中心となって進めた岩渕健一先生は当時を振り返る。しかし、「四高ビジョン21」という形で学校の目指す方向が確立し、共通理解を得られていたことが、合意形成を進める大きな力となった。
その結果、完成したのが39ページに示したカリキュラムだ。特徴的なのは、2年次以降では生徒の希望が弾力的に反映できるよう選択科目を増やしたこと、同じ教科内では重複して科目を選択できないこと、芸術や家庭、公民といった多くの生徒にとって受験とは直接関係ない科目も重視しているという点だ。
「進学対策という観点も大切です。しかし、我々はそれ以上に教養として生徒に学んでほしい科目を重視したのです」(岩渕先生)
同校では、'00年度から新課程への移行期間を利用して、'03年度カリキュラムからさかのぼって作成したカリキュラムでの授業が始まっている。今後は、カリキュラムを運用しながら、改善点を探っていく。
「『総合的な学習の時間』や『情報』の授業内容は今、検討を進めている最中です。これからも他校の実例などを調べて検討し、カリキュラムの見直しを掛けていく予定です」(二階堂教頭)
週末課題で生徒の学習習慣の定着を図る
「学力とは人間形成の延長上に成り立つもの」という観点から、授業時間を進学対策のみには費やさなかったことへの対応として、生徒の学習習慣の定着と、学習への動機付けが益々重要となった。その施策として、同校では'00年度から二つの活動を始めている。
一つは、週末課題だ。既に'99年度から生徒全員に毎週金曜日に国語・数学・英語の課題を出しているが、'00年度からは月曜日の提出を必須としたのだ。もし提出しなければ、放課後、教室に残って、課題を終わらせなければならない。提出するまで、家にも帰れず、もちろん部活動にも出られない。
「生徒は部活動に出たいから課題をきちんとこなします。顧問の先生も『部活動に出るために、週末課題を絶対にやれ』とハッパをかけます」(岩渕先生)
主要教科の授業時間数が減少する分、教師としては多くの課題を出したいと思うところ。しかし、宿題はこの週末課題のみとなっている。平日は授業の予習・復習と部活動の時間とし、生徒の自主性にまかせることにしたのだ。ただし、生徒の学習状況を把握するために、「可能性への挑戦(学習記録)」という冊子を配布し、生徒に1日に勉強した科目と時間数を記録させている。
3. 新カリキュラム作成のポイント
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作成の基本方針
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現行の科目の単位数のうち、何をいくつ減らすかという考え方をしない。本校のSIを基に、新設校の教育課程を新たに編成するくらいの覚悟で行う。
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現在の教員配置は一旦白紙の状態として編成する。
- 全人教育の観点から外れてはならない。
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作成上の留意点(抜粋)
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卒業に要する修得単位数は74単位以上とする。
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2、3年次における選択は、教科内選択にこだわらず、可能な限り総合選択を取り入れる。
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1単位時間を50分とする。
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「総合的な学習の時間」は、各学年1単位ずつ配置する。
- 週29コマ(LHR、総合学習の時間を除く)は厳守する。
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4.「四高ビジョン21」記入シート
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*記入シートの裏面。表面には「四高ビジョン21」(前ページの図)が生徒に語る言葉で示されている。
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