「本日はお集まりいただきありがとうございます。公開授業は魅力ある学校づくりの一環として、開かれた学校の実現のため、保護者や地域の方々との信頼関係の構築を目的に行っています。今日は約140名の方に来ていただくことができました。1学年から3学年までの全授業を公開しておりますので、お好きな授業を見学なさってください。また、公開授業後は懇談会を予定しておりますので、是非参加していただければと思います。懇談会に参加できない方も、お手元のアンケートで本校への忌憚のないご意見をちょうだいできれば幸いです」
6月17日、桐生南高校で公開授業が実施された際、高田壽久校長はこのように挨拶を行った。
桐生南高校で
公開授業が始まったのは'97年度のこと。同年に活動を開始した学校活性化委員会に設置された教育計画研究班から提案された。最初は教師の指導力の向上のために、校内で授業を公開するという取り組みだった。しかし、その計画が持ち上がるのとちょうど同時期に、開かれた学校への変革が声高に言われるようになり、どうせなら校外にも授業を公開したらどうか、という意見が出された。そして、土曜日に校外の人を対象とした公開授業が実施されることになったという。
今年は6月の第3週を、校内の教師が自由に見学できる「校内授業公開週間」とし、保護者、中学校教師、大学教授、学校評議員、県内の新任教師に土曜日の3時間目を公開する授業とした。ちなみに、同校では学校評議員制度が'00年度から設けられ、公開授業にはそのメンバーである大学教授、地元予備校の理事の2名も参加した。
保護者の公開授業への反応について、進路指導主事の小暮佳生先生は次のように語った。
「保護者には概ね好評です。普段は見ることのできない、自分の子どもが学校で勉強している姿が見られてよかった、という声が多いです」
小中学校ではよく授業参観が行われているが、高校でそのような試みを行っている学校は少ない。たとえ子どもが高校生になっても、実際に子どもが勉強している姿を見たい、通わせている高校の様子を自分の目で確認したい、という保護者のニーズは大きいようだ。
教務主任の野中武先生は次のように話した。
「授業を見ていただく機会を設定していることが、保護者との信頼関係の構築にプラスに働いているかもしれません。信頼関係が築ければ、それは大きな強みになります。本校では、その面は比較的うまくいっていると思います」
公開授業の後には懇談会を行い、見学に来た人たちから授業の感想や同校への要望を聞く場を設けている。保護者は各学年ごとに分かれて、学年の教師と話をする。保護者と教師が話をする機会を増やすことによって、保護者との間に信頼関係を築くことを大切にしている同校。そのための取り組みの一つが公開授業であると言えるだろう。
生徒は公開授業であっても、普段通り授業を受けているという。「でも、いつもより英語の文を読む声が大きかった。みんな気合いが入っていたみたいです」とは生徒の弁。
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