VIEW21 2000.9  指導変革の軌跡 群馬県立桐生南高校

桐生南高等学校改革組織図 中学校や大学の
教員に参加を呼び掛けているのは、同校の公開授業の特徴の一つだ。
 「各大学と中学校には、だいたい20日前に案内状を送付します。本校の卒業生が通っている大学と本校の通学区内の中学校に案内を出しています。県の管轄下にある高校と違い、中学校は市町村の管轄ですから、市町村の教育事務所及び教育委員会にも、中学校に公開授業の案内を出しますという趣旨の文書を送っています」(野中先生)
 中学校や大学の教員にも参加を呼び掛けているのはなぜだろうか?
 「中学校の先生方には、本校ではこのような指導をしていますよ、と知ってもらい、進路指導に役立ててもらえればという意味合いが強いですね。また、大学教授に高校でどんな授業を行っているのかを知ってもらえれば、大学の授業にも活かしてもらえます。大学教授にとってもプラスになると思うんです。私たち高校教師も、中学校の授業を見たいという気持ちが強いですから」(野中先生)
 中高、高大の接続が問題になっている現在、お互いの授業を見学したいと思っている教師は多いのかも知れない。しかし、今のところそのような機会は少ないというのが実情だ。
 「中学校からは進路学習のLHRの公開授業の案内をいただいたことがありますが、高校教師が中学校の授業を見る機会はまだまだ少ないですね。他校の校長から『うちでも公開授業をやりたい』という声をよく聞きますし、本校で行っているような授業を公開する取り組みが、今後増えていけばいいと思います」(高田校長)
 また、中学校と大学の教員、学校評議員と同校の教師代表との間でも懇談会が行われている。
 「今、大学では学生の数学力の低下が問題になっています。その意味で、高校の授業から学ぶこともあると感じました」(国立大教授)
 「授業の進度が速いと感じる教室もありました。要点の羅列だけで終わってしまわないかが心配です」(私立大教授)
 大学教授や中学教師、学校評議員という異なる立場の人から、様々な意見を聞くことができる貴重な場が懇談会であると言える。
 「昨年度は中学校の先生から、『中学校では手を挙げさせて発表させるような工夫をしているが、高校は講義形式の授業になりがちでは』というご意見をいただきました。そのような工夫は、我々も見習うべきところがあると思います。中学校や大学との連携の強化が、指導法の改善につながっていけばいいですね」(高田校長)

写真 公開授業後の懇談会
公開授業後の懇談会は、保護者とそれ以外の参加者で分かれて実施。保護者は学年別、あるいはクラス別に分かれ教師と懇談。中学校教師・大学教授・学校評議員は校長室に集まり、授業を見た感想などを中心に話し合った。



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