宮崎県立延岡高校
生徒主体の活動で
四技能だけでなく自発的な
コミュニケーション態度も育成
宮崎県立延岡高校では、オーラルコミュニケーションが現課程に導入された当初から、第1学年で週2コマ、オーラルコミュニケーションA(以下OC・A)を行っている。リスニング中心のOC・Bを選択する高校が多い中、なぜ同校は会話中心のOC・Aを選んだのか。その理由を、7年前、自らOC・Aの導入を提案した富高啓順先生はこう話す。
「英語は自分を表現する道具の一つとして使っていくものです。文法などで理論的に学ぶだけではなく、日常生活の場面で想定されるような英語を実際に話すことで、学べることが多いのではと考えたのです」
ALT(外国語指導助手)やJTE(日本人教師)、生徒同士の会話を通じて、相手に自分の意思が英語で伝わったという、楽しさや面白さを実感してほしい。そうすることで、英語学習への動機付けにつながるという期待もあったという。
プロジェクトで総合力を養成
生徒に積極的に英語を使わせるために、富高先生らが考えたのは、各学期の中心に据えたプロジェクトだ。内容は、1学期には2人または3人組によるラジオコマーシャルの制作、2学期には日本文化をテーマとしたグループでの英語劇発表、3学期には新聞記事の要約・意見を述べる個人インタビューテストとなっている。
グループ英語劇を例とすると、赴任してきたばかりのALTに日本文化を紹介するという設定で、10分程度の英語劇を男女数名のグループで制作し、授業で発表する。何を紹介するかはグループごとに決め、ストーリーやせりふ、動きを考える。小道具も生徒自身の手作りだ。劇のテーマには、「お祭り」「バレンタインデー」「名札と印鑑」などがあったという。
「普段の授業は教科書中心となりますが、それでは授業中にALTが言ったことを聞いて、それに答えるだけという、その場限りの活動に終わってしまいがちです。しかし、プロジェクトでは、資料を読み、考え、発表用の原稿を作り、英語を使って発表し、見る側はそれを聞き取ることになります。『読む、書く、聞く、話す』の四技能を統合した学習によって、生きた英語力を養成できると考えました」
準備段階ではグループのメンバーと話し合うことが要求される。時には、意見のぶつかり合いもある。話し合いの中で不明な点が出てくれば、ALTに質問する必要も出てくる。ALTとは当然、英語で受け答えをする。
「生徒は日本語でも自分の意見をはっきりと伝えることをあまりしません。それが英語ならなおさらです。プロジェクトは、英語でも日本語でも他者に自分の意見を伝えなければならない状況を設定することで、他者と積極的にコミュニケーションを図ろうという態度を育てることにもつながっているのです」
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