■part 2■ 利用する資料
アンケートなどで事前に生徒の姿、問題点をつかむ
教師が事前に生徒の性格、成績、適性、志望などを把握できる資料に目を通して面談に臨めば、限られた時間の中で実りのある、効果的な面談が期待できる。「生活習慣調査」「模試や定期考査の成績推移表」「進路希望調査」などを利用したい。また、面談シートを渡し、事前に質問事項について書かせる方法もある。
このような調査をすると、生徒によっては質問事項にきちんと答えなかったり、事実と異なることを書く者もいるが、本音を書く生徒も少なくない。「家庭学習時間が減っている」「部活がうまくいっていない」など、生徒の姿が浮かび上がったり、ときには回答の中に個別指導が必要となるサインが発せられていることもある。
また、成績に関するデータは、学習面で生徒を説得する第一の材料だ。ただ「勉強、頑張れ」と言うより、具体的な数字を基に「この教科を克服すれば、志望校合格の可能性が高くなる」、具体的な学習法を示して「この方法で学習している生徒はこれだけ成績が伸びている」と言う方がはるかに説得力がある。
いずれにせよ、資料やデータは生徒のやる気を引き出し、前向きに取り組ませるために使うべきものだ。「英語が全然だめじゃないか。これではどうしようもない」といった、否定的な材料にすることは避けたい。
面談シートに盛り込みたい質問例
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学習
- ・得意科目、不得意科目は?
- ・勉強の仕方が分からない科目は?
- ・家庭での学習時間は? ・目標とする学習時間は?
- ・日頃の勉強の仕方は? ・予習・復習する科目は?
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生活
- ・高校生活で悩みはあるか? ・家庭で悩みはあるか?
- ・友達関係で悩みはあるか? ・予備校や塾に通っているか?
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進路
- ・高校卒業後の進路について考えているか?
- ・将来就きたい職業があるか。その職業名は?
- ・進学したい学校はあるか。その学校名は?
- ・進路について親と話し合うか?
- ・進路について親と意見が合うか?
- ・進路について悩みはあるか?
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■part 3■ 生徒との接し方
生徒を励まして前向きな気持ちと決断力を引き出す
生徒は、自分から話すことが苦手で、自己の希望、意思をうまく表現できない者が少なくない。面談では教師からの一方通行に終始しないよう、生徒の警戒心を解き、何でも気軽に話せる雰囲気作りを心掛けたい。学年初めの、顔合わせの面談では、生徒の部活動や趣味などの話から切り出すとよいだろう。そして、生徒が話し終えるまで会話を遮らずに、きちんと耳を傾けたい。
成績について話す場合、ともすると否定的な話になりがちだ。しかしこれでは、生徒は心を閉ざしてしまい逆効果。面談は基本的に励ます場であって、生徒がやる気をなくすような発言は絶対に避けたい。頑張りの足りない生徒には叱ることも必要だが、マイナス面を指摘するときは、改善策と展望を話し、生徒が進むべき方向が見えるようにする。
また、学習面に限らず、生活面でも部活動でも生徒のよいところを見つけ、積極的に褒めていきたい。それでなくても生徒は、面談で悪い点を指摘されるのではと多少不安になっている。そんなとき、ちょっとでも良い点を見つけてやれば、生徒は心を開き、前向きな気持ちになれる。面談が終わったとき、「面談してよかった。これから頑張ろう」と明るい気持ちになるような面談にしたい。
ある問題について話し合うときには、教師の側からはいくつか解決策を提示するにとどめ、最後は本人の責任で決断する姿勢を促す。教師はあくまで生徒自身による意思決定を援助するというスタンスで、一緒に考えたり、アドバイスしたい。最近は特に、教師に頼ろうとする生徒が増えているようだが、教科学習にせよ、進路選択にせよ、結局は本人の意思と力で状況を切り開いていくしかないことに気付かせたい。
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