■part 4■ 三者面談
保護者の前でも生徒が話せるよう仕向ける
三者面談で注意したい点は、主役はあくまで生徒だということだ。保護者を前に子どもは押し黙ってしまい、保護者ばかりが話すというケースは少なくない。生徒が萎縮しないような雰囲気作りを心掛けたい。
質問をする時には、生徒への質問なのか、保護者への質問なのかをはっきりさせながら進める。特に進路問題は、生徒が答えるべきことを「この子の希望はこうなんです」と保護者が答えてしまうこともある。しかし、当事者である生徒に話す機会を与え、生徒の希望を中心に結論を出すようにして、保護者には子どもの希望を第一に考えることの大切さを理解してもらう。
志望校に対する生徒と保護者の考えがかけ離れていると、後々トラブルになりやすい。食い違いをなくすためには、3年次の早い時期までに三者面談を行うのも一つの方法だ。保護者が子どもの前では本音を言わない場合もあるので、保護者のみの面談をした方がよいケースもある。
三者面談は親子関係を把握するよい機会でもある。「この生徒は学校ではよく話をするが、家では全然話をしない」、「この生徒は保護者にこういう態度で接するのか」など、生徒を多面的に理解できる。その結果、二者面談もしやすくなる。
学校についての情報は生徒を通して保護者に伝わるため、生徒の主観的な学校像、担任像となっていることがある。三者面談はそれを正すよい機会だろう。
保護者が三者面談で知りたいのは、高校での様子、成績、進路に関することだ。それらについては資料を用意し、保護者の納得を得られるようにしていきたい。また、家庭の事情などプライベートな話をすることもある。第三者がいない教室で行うなど、場所にも気を遣いたい。
■part 5■ 進路指導
文理、科目選択は職業と結び付けて考えさせる
1年次では文理選択を前提として職業について考えさせる。多くの生徒は職業について深く考えたことがなく、挙げられる職業名は教師、看護婦、新聞記者といった限られたものだ。それでも、生徒の「何となくなりたい」という素朴な願いをむげに否定せず、職業観を広げてやる。「その職業のどこに興味があるのか」と質問の幅を広げていき、「それならこんな職業もある」と関連する職業を例示して、生徒の職業観を発展させていく。
就きたい職業を考えさせたら、その職業に就くにはどの分野を学び、どんな教科を勉強すればよいかを調べさせ、文理選択につなげていく。また、数学が嫌いだから文系、理科の成績が良いから理系、といった単純な理由で選択する生徒もいる。科目の好き嫌いも大切な要素だが、将来の進路と結び付けて考えるという進路選択の原点をもう一度思い起こさせ、「何となく文系、何となく理系」に流されていないか、面談でチェックする。
2年次の科目選択は、大学受験を視野に入れて行うようにさせる。志望する大学・学部・学科の入試科目を調べさせて、履修する科目を決めさせる。その際、幅を持たせて多めに科目を履修するようアドバイスする。科目を絞り込みすぎると、実際に受験できる大学の数が限られてしまう恐れがあるからだ。
進路希望調査票例
調査票には、将来の夢だけでなく、それを実現させるためにはどうすればよいのかを書かせると、生徒の考えも深まる。
<前ページへ 次ページへ>
|