VIEW21 2000.12  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 面談指導

■part 6■ 学習指導
自発的な学習習慣を確立させる

 学習面における1年次当初の課題は、「中学校から高校への学習の転換」である。したがって、早い時期に生徒にそれを理解させ、学習の仕方を変えさせることが重要なテーマとなる。
 高校での授業は、(1)授業の進度が速い、(2)科目の内容が難しい、(3)自宅学習をしないと授業についていけない、(4)テストが多い、など多くの点で中学校とは異なる。これらの問題を克服する決め手は予習だ。授業を聞くだけで理解できた中学時代と、予習をしなければ理解が難しい高校の授業の違いをしっかり認識させる。自宅学習をしているか、している場合はどんな学習の仕方かを確認した上で、学習法をアドバイスするなど、能動的な学習スタイルを身に付けさせる。
 2年次の面談では、学習習慣が定着できなかった生徒に特に注意を払いたい。各教科・科目の1年間の定期考査や模試の成績推移表などの資料を見せて、生徒自身に具体的にどの科目のどこが悪かったのか、どこでつまずいたのか気付かせる。生徒に自分の成績を自ら記録させ、管理させることも大切だ。
 成績が伸びるか伸びないかは、生徒自身の取り組みにかかっている。教師は勉強法のヒントと方向性を与えるというスタンスに立ち、生徒が自ら学習に向かえるように後押しをする。

学習習慣の問題点を探るチェック項目例
全教科共通
・予習をしているか
・授業に集中しているか。板書を写すだけで終わっていないか
・予備校、塾中心の受け身の勉強になっていないか
・できなかったところをもう一度チェックしているか
・分かるところ、分からないところが区別できているか
数学
・自宅学習で問題演習をしているか
・問題を解くとき、計算過程や結論まできちんと書けているか
・グラフや図形を描いて考えるようにしているか
英語
・文法、英作文に苦手意識を持っていないか
・予習では単語を訳すだけでなく、文意を読み取ろうとしているか
・逐語訳にとどまっていないか
・声を出して読んでいるか
国語
・漫画以外に本や新聞を読んでいるか
・文章を書くようにしているか
・古文で辞書を使う習慣が付いているか
・古文、漢文の文法や口語訳に苦手意識を持っていないか
1年次で学習習慣を確立できていないと、2年次で学力差がさらに広がり、そのまま固定化する恐れがある。1年次の成績データや面談を通して学習習慣が未定着の生徒の問題点を探ると共に、2年次の早い時期に学習・生活習慣を定着させたい。

生活習慣から学習習慣の確立を図る

 学習習慣と生活習慣は深い関係にある。以前は学習指導で引っ張れば、生活面も自然とついてきたが、今はむしろ生活習慣をしっかりさせないと、学習習慣に結び付かない。面談における生活指導の重要性は高まっている。
面談の場では問題点をただ注意するのではなく、「何か心配事でもあるのか」と話し合うなど、問題の解決策を辛抱強く見いだしたい。ただし、生活指導は他の面談のついでにせず、別に機会を設ける方がよい。学習面などを口実にして生活面を注意された、と生徒は思いがちだ。
 普段から教科担当の教師と情報交換を密にすることも重要だ。担任の目が届かない点に気付き、きめ細かく指導できる。例えば、英語の教師から「あの生徒は授業中、集中力に欠ける」といった指摘があれば、面談で問題を探ることもできる。あるいは、学習状況調査で「数学が苦手」と書いてきた生徒がいたら、正規の面談の他に、数学教師に面談をお願いするという方法もある。
 ある高校では、その学年に関係する教師全員が集まり、「2年1組について話し合います」と、すべてのクラスを順番に議題に乗せ、クラスについて教師全員が発言するという会議を行っている。その発言内容を面談に反映させることもできるだろう。

生活習慣のアンケート項目例
生活習慣のアンケート項目例
定期的にアンケートを行い、生徒の1週間の生活を把握する高校もある。
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