■part 1■ HRの計画の立て方
LHRでは年間を見通した計画を立てる
HRの目的はその性格上、一朝一夕に達成できるものではない。即効性よりも、明日につながる活動として捉えたい。長期的視野が必要なだけに、年度当初にどんな活動を行うか学年で計画を立て、年間の見通しを持って臨むことが大切である。
特にLHRの場合、年間計画を立てることは欠かせない。多くの高校では、まず学校行事や進路学習、学年集会など学年全体のテーマを軸に年間のスケジュールを組み、それに基づいてLHRを運営しているようだ。年間計画を立てれば、担任が自由裁量で使えるLHRが年に何時間あるかがはっきりし、その時間をどんな取り組みに使うか、目安を付けやすくなる。
SHRでは、担任がその時々の状況に合わせてタイムリーな学内の出来事、時事問題などを話すことが多い。必ずしも年間計画は必要でない。とは言え、1学期は生徒の自己紹介スピーチなどでクラスづくり、2学期は学年全体での生活習慣調査や行事への意識付けというように、学期ごとに目標を立て、大まかな計画を立てれば、運営しやすくなる。
SHRの年間計画例
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1学期
- ・生徒によるスピーチ 自己紹介
- ・担任からの話 夏休みの過ごし方
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2学期
- ・担任からの話 進路学習の重要性と学習法
- ・調査 生活習慣のアンケート記入
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3学期
- ・担任からの話 進路の方向決定
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HR活動内容 複数回答(%)
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低学年では自己理解や視野を広げさせる指導を行い、3年次での進路決定につなぐ指導を行っているようだ。
*「学校教育と卒業後の進路に関する調査報告書」(文部省/1994年度)より作表。
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■part 2■ HRでの担任のスタンス
コミュニケーションや観察を通して生徒の状況を把握
生徒にとって、担任は高校の中で最も身近で、模範としやすい存在の大人である。自分の生き方について考え始めた生徒は、担任の姿から自分の将来を考えるヒントを探ろうとする。しかし、生徒は担任を前に自分の考えを話したり、悩みを打ち明けたりするのが上手とは言えない。そこで、教師の側から、HRを通して生徒が話しやすい雰囲気をクラスに作っておくことが求められる。
HRは担任と生徒とのコミュニケーションの場としての意義が大きく、特にSHRは生徒の現在の状況をつかむのに良い機会である。1日の始まりに当たって、SHRという限られた短い時間ではあるが、生徒一人ひとりの様子や顔色を注意深く観察すれば、生徒が普段通り変わりはないか、何か悩みを抱えていないか、といったことを感じ取ることができる。例えば、担任が話をしているとき、普段は顔を上げて聞いている生徒が下を向きがちだったり、表情に生気がなかったりと、それなりのサインを発していることが少なくない。気になったら、後でその生徒を呼んで個別に話を聞くといったことも考えたい。
また、担任自身はごく当たり前の内容の話をしているつもりでも、生徒の中には怪訝な顔をしたり、聞きたくなさそうな素振りをする者がいることもある。それによって担任と生徒との距離感を測ることができ、生徒に関する情報として、その後の指導に大いに役立つ。
以上のことは、LHRについても基本的には当てはまる。
クラスにはクラスごとのカラーが作られていくが、そのカラーはHRを通じて作られる部分が大きい。クラスを作っていくという意味でも、HRの時間を大切にしたい。
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