この方針の下、国語・数学・英語の3教科で、校区内の中学校11校と同校で互いに授業を公開し、参観後に意見を交換するという活動を主体に連携が進められていった。そんな中、宮崎県は'99年度から「学力向上指導研究開発モデル事業」(図4)に着手。宮崎南高校は県より「小・中・高等学校連携推進事業」の研究を委託される。同校ではこれを学校改革推進の好機と捉え、今までの中高連携を拡大する形で、校区内の小学校21校も含めた「学校間の連携」の研究をスタートさせた。
「次世代の人材育成はその地域社会全体で取り組むべき最重要テーマです。『生きる力』の礎となる学力を身に付けさせることができなければ、郷土の未来を支えるべき貴重な若者は地域外に流出してしまいます」(山下校長)
学校全体として取り組む体制を整えるために、最初に校区内の全校長で組織する「連携会議」を設置。次に、代表者からなる「理事会」、実際に研究を推進する「研究推進委員会」、各分掌で情報交換を行う「教務主任部会」「生徒指導主事部会」「進路指導主事部会」を設置した(表5)。
様々な問題を浮き彫りにした研究は、次の4つの視点から行われた。
1.意識調査
小から中、中から高へのつなぎの重要性が浮き彫りに
意識調査は、'98年度から宮崎南高校で実践評価資料の一つとして実施していた調査を小学校、中学校まで拡大させたものだ。小学校21校・中学校11校の結果から無作為に各100名を抽出し分析する。調査項目は、中学校では「個性」「学習」「生き方」「基本的生活習慣」、小学校では「個性」「学習」とし、それぞれの必要性や意義を理解しているかを問う「明確性」と、実生活で目標に向かって実践しているかという「探求性」を問う二面の項目からなる。
分析の結果、小学生では明確性も探求性もプラスの「達成志向型」を示しているが、中学校、高校と進むにつれ、それが拡散していく傾向を示した。「自宅学習や計画的な学習をしなければならないのは分かっているが、実際はできていない」ことが、中学校と高校でははっきりと結果に出た。特に、「教科を伸ばす必要と意義」は、小学生は明確な意識を持っているのに、中学校、高校と次第に低下している。さらに、宮崎南高校が自校生全員に行った調査では、1年次では前向きに取り組む姿勢を示しているが、2年次には低下し、3年次になると再び強くなることが読み取れる。
以上の分析を踏まえて、連携会議は、「小学校で培われた学習意欲を中学校入学時にどれだけ低下させずに自宅学習や計画的な学習に向かわせるか」という指導の課題を導き出した。同様に、高校入学段階でも、「どれだけ高校生としての意識、習慣にスムーズに切り替えさせられるか」が課題であるという認識に至っている。
4 学力向上指導研究開発モデル事業
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5 小・中・高連携会議の役割
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