VIEW21 2001.02  指導変革の軌跡 茨城県立並木高校

もともと
「MY FUTURE」は学校側からの発案でスタートした。現2年生が入学した'99年の5月、クラス代表の保護者8名と学年委員長、学年主任、副主任の計11名で組織された「学年委員会」の話し合いの場が持たれた。学年委員会として、高校とどう関わっていくのか、方向性を見いだそうとしていたのだ。そのとき、アイデアの一つとして学校側から提案されたのが職業講演会だった。当時から学年委員長を務める木嶋眞人さんはそのときの様子をこう話す。
 「子どもがちゃんと考えて将来の進路を決めているのか不安だという声が保護者の間から多く挙がりました。でも、自分から子どもに自分の仕事について真剣に語りかけるのは面はゆいものです。それなら、いろいろな職業の方がいるのだから、生徒に仕事について語りかけてみたらどうだろうという協力の声が挙がったのです」
 並木高校は筑波研究学園都市の一角に位置し、保護者の中には研究職や技術職など専門職に従事している人も多い。PTAの中から講師を立てて、自分の仕事について語ってもらおうということになったのだ。
 だが、そこからが大変だった。講師の選定、話の内容、日時、場所と、ゼロから始めるのは難しい。どのようなスタイルにするのか、いくつかの方針が見えたのは、学年委員会で何度も検討を重ねた結果だった。1回の時間は生徒の集中力と講師の力量を考えて40~50分に設定。対象は1年生(現2年生)とし、進路希望調査を見て聴講した方がよいと思われる生徒には担任が声を掛けるが、参加するかは本人の意志に任せる。そして、講演会後の感想文などを強制しないようにした。
 「生徒に興味を持って自発的に聞いてもらうことが一番重要だと考えたのです」
 学年主任の飯塚弘之先生は「MY FUTURE」の主旨をそう話す。保護者や教師、生徒に負担がかかるやり方では長続きしない。それよりも、現状でベストのやり方で進めながら、問題点を改善していった方が、生徒に多くの話を聞かせることができると判断したのだ。

「MY FUTURE」講師一覧
農林水産省家畜衛生試験場……獣医師
高エネルギー加速器研究機構…研究員
中学校……………………………教師
筑波医療技術短期大……………教授
気象研究所………………………研究員
コンピュータ専門学校…………講師
旅行会社…………………………企画運営担当
教育関係会社……………………営業担当
筑波大……………………………言語系学部教授
筑波大……………………………工学系学部教授
宇宙開発会社……………………研究員
筑波技術短期大…………………教授

写真 感想文
特に講演会に興味を示した生徒には、感想文を書くように指導している。生徒がどの程度理解しているのかを知り、その後の講演会の運営に役立てている。



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