調査・研究を単なる調べ学習に終わらせず提言にまで高める
校訓の「進取」からとって「進取の時間」と名付けられた同校の「総合的な学習の時間」の取り組み。まず'99年度は1年生のみを対象に開始し、'00年度は1、2年生に拡大された。'00年度の学習テーマは、1年生が「見つめよう高校生活―上高を知ろう―」、2年生が「ふるさとを見つめ、これからの社会的課題について考えよう」とした。
「見つめよう高校生活」は、上五島高校を魅力的な学校にすることを目標に、生徒たちが同校の歴史や自らの学校生活に関する調査を実施するというもの。生徒にとって身近な「学校」を題材に情報収集の手法を学ぶのが目的だ。そしてこの取り組みを通して、幅広い地域の中学校から同校に入ってきた生徒たちを、学校生活に馴染ませる狙いも含んでいる。1年次の前半はクラス単位での授業となっており、2名から5名の班を編成して、各班ごとに取り組むテーマ設定をさせた。生徒たちから出てきたテーマは「上高が1日に使う電気の使用量と節電方法」といった環境関連や、「上高生の運動能力について」などの部活に関連するものなど、バラエティに富んでいる。生徒たちは調査研究活動を行い、その成果を10月初旬にクラスごとに開かれた中間発表会で報告した。そして後半は、「環境」「生活」「歴史」「部活」などテーマごとにクラスを越えたグループを編成した。グループ単位で再度発表会をした後に再調査をスタートさせ、2月中旬に1年生全員を集めての最終発表会が開かれる。つまり1年間は「班別テーマ設定→調査・まとめ→中間発表→班別テーマ再設定→調査・まとめ→本発表」となっている。間に中間発表を置き、生徒に振り返りの機会を与えていることがポイントだ。研修部副主任の橋本和樹先生は次のように語る。
「前半だけでも、生徒は本校についてかなり調べることになります。しかしそれだけでは単なる調べ学習で終わってしまう恐れがある。生徒の問題意識を深め、調査結果を『どうしたら上高が良くなるか』という提言にまで高めるため、後半も同じテーマを扱うことにしました。前半をクラス単位にしたのは生徒たちに学級活動に慣れてもらうため、後半をクラスを越えたグループ編成にしたのは、各分野の知識を持った教員が担当者となることで、よりレベルの高い支援をするためです」
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