VIEW21 2001.04  新課程への助走
 新課程に向けた様々な課題の検討進捗状況

【「総合的な学習の時間」の検討状況】
校内での認識を共有しなければ検討は進まず

 「総合的な学習の時間」に関して、'00年1月実施のアンケートでは、「既に具体的計画ができている(5.7%)」、「現在、検討を進めている(43.3%)」と、約半数の高校が'01年3月末までには「総合的な学習の時間」の指導内容案の骨子を確定させると回答した。ところが、今回のアンケートでは「既に原案作成済み」が14.9%、「'01年3月末までに作成予定」が6.9%であり、約70%の高校が'01年4月以降に原案を作成するとしている(グラフ4)。また、「未定」と答えた高校も7.6%ある。「総合的な学習の時間」の指導内容には各校とも検討に時間がかかっているようだ。
 現状の進捗状況に関しては「ほぼ当初の予定通り」が45.6%、「当初の予定よりもやや遅れ気味」が47.2%と、二分している(グラフ5)。しかし、「ほぼ予定通り」が順調に検討が進んでおり、「やや遅れ気味」という高校が検討不十分であるという単純な図式ではない。「やや遅れ気味」と回答した学校でも「総合的な学習の時間」の捉え方には大きな違いがある。例えば、進捗状況が同じような2校の実状は次のようである。

A高校
「総合的な学習の時間」を学校改革の中核に据え、じっくりと検討している。原案こそ完成していないが、内容は1年前に比べて大きく深まっている。
B高校
様々な事情から校内での検討が頓挫、停滞し、原案の骨子も完成していない。しかし、校内には'02年度までには何とかなるのではという雰囲気がある。

 「総合的な学習の時間」に関する校内(教師間)の認識を共有化することに時間をかけ、その可能性をじっくりと模索しているA高校のような場合には、確実に具体的実施案への積み上げが見られることが多い。そのため、現段階で最終案が確定していないことは大きな問題ではない。
 懸念されるのはB高校のような場合で、今後さらに検討が遅れることも予想される。自校のSIに立脚することもなく、他校の事例を参考に具体的な実施案が作成され、校内での十分な検証の時間もないまま、'03年度に突入してしまう可能性も高い。その場合、自ら学び、自ら考える力を育てるという「総合的な学習の時間」本来の成果は期待できないと思われる。

グラフ4 「総合的な学習の時間」の検討状況
グラフ4
グラフ5 「総合的な学習の時間」の内容検討の進渉ペース
グラフ5
*グラフ4で「'01年4月以降に確定予定」を選択した学校のみ対象に集計

<前ページへ  次ページへ>

このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。