VIEW21 2001.04  特集 総合学習を軸に考える学校づくり

事例研究2

徳島県立富岡西高校

「環境を科学する」総合学習の在り方を模索
'00年度より総合学習「地球と環境問題」をスタートさせた富岡西高校。同校は、小中学校までの総合学習をいかに高校で深化させるか、教師が抱きがちな総合学習に対する負担感、不安感をいかに取り除くかを念頭に置きながら、「富西プログラム」を打ち出し研究実践を進めている。


多様化する生徒たち
対症療法では対応できず学校改革に踏み出す

 富岡西高校は、徳島県南部を代表する進学校。かつては、200名前後の国公立大合格者を輩出してきた。だが、学区内の他校が進学実績を伸ばす中で、'93年度あたりから、上位層から下位層まで多様な層の生徒が入学してくるようになった。長い間、同校の校風は“自主自立”であり、生徒たちは教師から言われなくても、自分たちで勉強していた。しかし、近年は3年生になっても志望校さえ決められず、なかなか受験態勢に移行できない生徒も少なくないという。
 同校では当初、補習の時間数や小テストの回数を増やす、言わば指導の量的拡大で状況に対処しようとしていたが、有効な打開策になり得ずにいた。生徒の変化に対応して富岡西高校をどのような高校にしていくか、根本的な学校改革に踏み出す必要があった。
 '98年度、同校は、「学校改革委員会」と「21世紀委員会」という二つの委員会を立ち上げた。「学校改革委員会」は、生徒の多様化を念頭に置きながら、今改善するべき課題に着手しようというもの。効果的な補習授業の在り方や進級規定などの見直しを行った。
 そして「21世紀委員会」は、すぐには実現不可能なことも含めて、将来構想を模索する若手教師の集団として発足し、新しい学校づくりのため、百年の伝統を振り返るところからスタートした。


徳島県立富岡西高校
設立105年。普通科の共学校。全校生徒数約900名。「自主自立」「文武両道」の校風を持つ。'00年度入試では、東京大1名、徳島大21名など、国公立大に85名合格。私立大は同志社大6名、立命館大15名などをはじめ多数の合格者を輩出。部活動は剣道部、硬式テニス部、ボート部が全国大会に出場経験を持つ。
住所/阿南市富岡町小山18-3 電話/0886(22)0041

写真 近藤辰夫 写真 藤川卓司
徳島県立富岡西高校教諭
近藤辰夫
Kondo Tatsuo
教職歴22年。同校に赴任して3年目。「自己実現が図れる子どもを育てていきたいですね」
徳島県立富岡西高校教諭
藤川卓司
Fujikawa Takuji
教職歴14年。同校に赴任して4年。「生徒と常に向かい合う姿勢を持ち続けていきたいです」

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